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dreamer

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4 years ago

4.0


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Sunflower

Movies ・ 1970

Avg 3.6

この映画「ひまわり」は、イタリアの名匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督が、じっくりと謳いあげた、堂々たる大メロドラマだ。 第二次世界大戦中、勝ち気なナポリ女、ソフィア・ローレン扮するジョヴァンナと、鼻の下の長いミラノ男、マルチェロ・マストロヤンニ扮するアントニオが結婚する。 二人のなれそめや、お熱いハネムーンの描写は、喜劇タッチで大いに笑わせてくれる。 夫婦がしめしあわせ、夫は発狂したふりをして召集を逃れるのだけれど、芝居がばれて、アントニオは厳寒のソ連戦線へと送られてしまう。 悲劇はここから始まる。終戦になり、兵士はぞくぞく復員してくるのに、夫は行方不明だ。 待ちわびた妻のジョヴァンナは、単身、ソ連へと夫の消息を尋ねて旅立って行く。 初めて入り込んだ、西欧側の劇映画のカメラが、ソ連の風景を新鮮にとらえる。 特に一望遥か、目もくらむ鮮やかさで咲き乱れる、ウクライナ地方のひまわり畑は、その下に倒れた無数の戦死者の魂と、女の愛の叫びの凝縮とも見え、厳しい美しさで胸を打つ。 ついに、ジョヴァンナが捜しあてた夫には、だが若く美しい現地妻、「戦争と平和」で一躍世界中の注目を浴びた、リュドミラ・サヴェーリエワ扮するマーシャと、幼い女の子までいた。 この二人の妻の出会いと、もと夫婦の無言の再会の場面は、ヘンリー・マンシーニの哀切きわまりない音楽とともに、見事な盛り上がりを見せるが、後日、アントニオが故国イタリアへ、ジョヴァンニを訪れる二度目のめぐりあいは、さらに悲しい。 会えばいっとき、懐かしい愛がこぼれ落ちながら、過ぎた昔は取り戻すすべもない。 ラストの痛ましい余韻は、戦争の罪悪というよりも、人の世のさだめのむごさを、そくそくと伝えてくれる。