
dreamer

All Quiet On The Western Front
Avg 3.6
この映画「西部戦線異状なし」は、第一次世界大戦中、ドイツ軍兵士として参戦して負傷し、戦場と病院を行き来した体験に基づいて書かれたエリッヒ・マリア・レマルクの世界的なベストセラーの映画化作品で、第3回アカデミー賞作品賞を受賞した反戦映画の最高峰だと思います。 ハリウッド映画ですが、舞台となっているのはドイツです。 かなり昔の映画ですから、描かれているのは第一次世界大戦です。 こういうドラマティックな反戦映画があったにもかかわらず、やっぱり第二次世界大戦が起きています。 人間は永遠に懲りない生きものなんだなと痛感してしまいます。 物語は、ドイツのとある小さな町の学校の教室から始まります。 老教師が、戦争に行って国のために戦って来いと力説すると、少年たちの瞳はみるみる輝きだし、我も我もと志願して兵士となって戦地に赴くのです。 しかし、実際の戦場は生易しいものではなく、想像を絶する世界でした。 食べ物はなく、目の前で次々と仲間が戦死していき、最前線では敵の兵士の死体と一晩を過ごさねばならなくなり-------。 主人公のポール(リュー・エアーズ)は、そんな過酷な戦場で必死で生き残り、一時、休暇で故郷へ帰りますが、暗たんたる気持ちになります。 自分がいた教室には、同じ老教師がいて、同じように少年たちを扇動していたのです。 見かねて、その場に割って入ったポールは、実際の戦争がどんなものかと話し始めるのですが、少年たちには全く伝わらないのです。 失意のうちに、再び戦場へ戻ったのですが、飛んできた蝶々を捕ろうと体を乗り出した時、敵の銃弾に倒れてしまいます-------。 この映画には、将軍とか大佐とかの軍の上層部の人間は出てきません。 若い新兵たちをリアルに淡々と描いています。 最初は、張り切って戦地に乗り込んでいくけれど、だんだんと意気消沈していく姿、「痛い!」「怖い!」と叫ぶ姿には、観ていて胸が痛くなります。 どうして戦争をしなくてはならないのか?と、仲間同士で話すシーンも非常に印象的です。 このように何気ないセリフの中に、"戦争の本質"がズバリと表現されていて、ドキッとさせられます。 この映画が作られた1930年は、ちょうどトーキーが誕生した頃でした。 音声を出す装置を完備していない映画館もあったため、無声版とトーキー版と、2種類作られたのだそうです。 日本ではトーキー版が上映されたそうですが、反戦映画なので、映画館の前の長蛇の列を憲兵が見張っていたと言われています。 昭和5年ということですから、昭和初期の暗い時代を感じてしまうエピソードです。 こんなに古い映画であるにもかかわらず、今観ても全く遜色もなく、違和感もありません。 この映画が、どうして映画史上の反戦映画の傑作と言われているかが、映画を観て、よくわかりました。 静かな語り口ながら、戦争の悲惨さ、無意味さが、胸に重く伝わってくる反戦映画でした。