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Life and Nothing More...
Avg 3.6
引き続きアッバス・キアロスタミ監督作品「そして人生はつづく」を観ました。 いわゆるジグザグ道3部作の2作目です。 1990年、イラン北部で起きた大地震。 この3年前に撮った「友達のうちはどこ?」のロケ地も被災したので、アッバス監督が彼の息子パヤを連れて安否確認に行くお話。 (ちなみに監督役を演じるのは別の役者です) あの映画に出てくれた少年アハマドプール兄弟を探して、小さな古い車でコケルの村を訪ねる監督と息子。 被災地は一本道が大渋滞でなかなか進まない。 瓦礫に潰された家を総動員で片付ける人々。 山々には大きな亀裂が何本も入り、そのシーンは息を飲むような光景でした。 出会う人々に聞くと「コケルは全滅だ」と言われ何とも言えず複雑な表情になる。 途中、映画に出てくれた老人ルヒさんと出会う。 途中で水をもらいに何度か寄り道をし、地震があっても結婚した若者と話したり…(監督の別作品になりました)。 身内が犠牲になっても一生懸命片付けたり、洗濯をする女性たちの姿。 そして映画に出てくれた緑色の瞳の少年パルヴァネとも再会。 「大きくなったね」と感慨深そうに言う監督。 パルヴァネと息子パヤの会話は子どもらしいけれどちょっと違う。 ワールドカップの勝敗にパヤは「サッカーボール」や「自転車」を賭けようと言うが、パルヴァネは「靴下」とか「40ページのノート」などを提案する。 決してパヤを批判するわけではないが、途中でバッタを捕まえたり、ぬるいコーラを捨てようとしたり、どこかで被災地の子ども達との対比を描いている感じでした。 パヤをパルヴァネのテントに残して、一人でコケルを目指す監督。 途中でテレビアンテナを付けている若者に「家族が死んだ人もいるのにテレビを見たい?」と聞くが「自分も家族を亡くした。ワールドカップは4年に一度。地震は40年に一度。」と淡々と答えるのもたくましい。 そう、確かに何が起きても人生はつづくのです。 ラストは遠く遥か先の山道にアハマドプール兄弟の姿を見つけ、急ぎながら逸る気持ちで車を走らせる、そのシーンで終わります。 この遠景のカットは秀逸。 映画であのジグザグ道を何度も走っていたアハマドプールの今の姿を見たかったけど、余韻の残る終わり方でした。 邦題の「そして人生はつづく」のように、人間は何が起きても前を向いて生きるしかない、アッバス監督のいつものテーマを感じる作品でした。