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「粗削りだが泣ける箇所は完備」 大切なモノと引き換えに1日寿命を伸ばせたら、という変革タイムリープなお話。結論から言うと、泣けた。特に家族関係のエピソードは素晴らしいモノがある。しかし脚本としてみるとどうにも組み立て方が上手くない印象を受ける。 というのも時系列がよく分からない話の展開をしているので、この場面は過去なのか現在なのか判断し辛い場面が多々ある。それでいて急にアルゼンチンに行った思い出が挿入されるモンだから混乱してしまう。場面転換がせわしないんだが、かといってテンポが良い、むしろゆったりめで悪いので、イライラする箇所が多かった。 少しネタバレしてしまうと消える対象が「電話」「映画」「猫」の順なんだが、ラスト付近では消えたモノが無かったコトになっているのがどうにも腑に落ちない。結局悪魔は自分の妄想だったのか実在の悪魔が温情かけて復活させたのかどうなんだ。時系列がよく分からん。もっと言えば、電話が消えたら電話に絡んだエピソード自体が消える大それたモノなら彼女との思い出以外にもイッパイあるだろうし、世の中はもっと変わってるだろう。そういうトコのディテールのツメが甘い。 それでもこの映画が泣けるのは、家族愛の描き方がリアルだから。息子に愛情を目いっぱい注ぐ母、愛情表現を表に出せない不器用な父。そしていつも傍にいてくれた猫。家族関連のエピソードひとつひとつは描き方が丁寧。ラストのありがとうの言葉に込められた想いは泣かずにはいられなかった。 これをいっちゃあ作品自体を否定してるかもだが、変な設定などは根こそぎ取り、余命僅かの主人公が命の尊さを問うシンプルな内容で良かったんじゃないかと思う。惜しい作品だった。
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