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面白かった。邦題から察するにもっとファンタジックな作品かと思っていたけど、イメージと違った。 映画館で3Dで観てきたのだけれど、「アバター」の3Dとは全く違う3Dだった。アバターは、CGで精緻に作り込まれていて、主人公と一緒に擬似空間を体験出来るような3Dだけど、そんなアトラクション感覚の3Dではなかった。どちらかというと、物の造形に生彩を与えて画面の表情を豊かにするために3Dが使用されている。そんな表現がとても繊細だった。特に、冒頭のカメラの目線が凄かった。パリに分け入って駅舎を目指し、時計台に隠れ住む少年を捉えると、彼の視点になる。冒頭から魅惑的な3D表現だった。優しく切ないファンタジーに、効果を与えている。 ヒューゴは切ない子供です。オープニングからしばらくヒューゴは何も喋らなくて、この子は何をしているのだろうって気になった。彼はお母さんが亡くなり、時計職人で、博物館でも働く父と暮らしていた。礼儀正しくマジメで、手先も器用なヒューゴは父の仕事も手伝っていました。いずれは時計職人になりたかったんだろうな。ある日、父は博物館で眠っていた機械人形を持ち帰ります。母の故郷で作られた人形を父と息子は修理し始める。しかし、博物館で火事が起き、父は死んでしまう。 ヒューゴは唯一の血縁者である、飲んだくれのクロードおじさんに引き取られる。おじさんも時計職人で、駅の構内にある大きな時計のメンテナンスをしながら、駅の中に住んでいました。ヒューゴは父の機械人形だけを持っていくことを許される。 学校にも行かせてもらえなくなり、ヒューゴはおじの仕事を手伝うようになる。いつの間にか、おじはヒューゴに仕事を任せて失踪してしまう。この時代ってオリバー・ツイストなんかもそうだけど、孤児は見つかると孤児院に入れられる。でも、孤児院のありさまは酷いから、孤児院には誰も入りたくない。ヒューゴも見つかれば孤児院に連れて行かれるけど、おじの仕事を滞りなく続けていれば、自分が見つかることはまず有り得ない。だからヒューゴは仕事を続けているのだ。 ヒューゴは、駅のメンテナンスをこなす傍らで、父が残したメモを頼りに、形見である機械人形の修理も続けていた。でも、人形を直すための部品が足りず、おもちゃ屋から部品を盗もうとしたところ、店主のジョルジュに捕まってしまう。そしてポケットの中身を全て出すように言われ、父のメモまでも取り上げられてしまう。そして、ヒューゴがとても器用であることを知ったジョルジュは、盗んだ罰にお店で働くようにいう。ヒューゴはメモを返してもらうことを望みに、駅のメンテナンスと、店のアルバイト、そして空いた時間で機械人形の修理を続ける。こんな健気な少年がいるだろうか。そして、ジョルジュの家に住んでいる女の子イザベルと知り合いになる。 ヒューゴは機械人形を直し終えたけど、機械人形を動かすためには鍵が必要で、ヒューゴは途方に暮れる。すると、何故かイザベルが機械人形のカギを持っていたのだ。イザベルの鍵で機械人形は動き出すけど、それは新たな謎の始まりでしかなかったのです。その謎を解けば、父からのメッセージがあるような気がしたヒューゴは、イザベルと共に謎を追いかける。図書館で調べ物をした2人は、科学の発明品に希望を抱いて摩訶不思議な映像を生み出し、シネマトグラフの可能性を押し拡げながらも、時代に見捨てられた幻想特撮の始祖で魔術師と呼ばれたジョルジュ・メリエスの不遇な人生を知る。 ヒューゴは、苦労してきたからなのか淋しげで繊細な眼をする少年です。「オリバーツイスト」のオリバーとジャック、両方を兼ね備えている男の子でした。彼は人生を悟っているから、彼の言葉一つ一つにとても重みがある。彼はその思考に辿り着くまで、どれほどの哀しい思いをしたのだろう。ヒューゴはかっこいいよ。そしてジョルジュを演じるのがベン・キングズレー。存在感があります。イザベルも、ヒューゴの父も、キャストが良かった。ジュード・ロウは脇役くらいが丁度いいの。クロエは可愛い。
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