
dreamer

El Topo
Avg 3.5
このカルト映画の伝説的な名作「エル・トポ」、題名のエル・トポとは、主人公の名前であり、その意味はスペイン語でモグラ。 モグラは、太陽を一目見ようと土を掘り続け、やっと光を目にした途端、目が見えなくなってしまう。 これは言うまでもなく、モグラは人間を、太陽は神を、それぞれに暗示しているのだと思う。 ここで重要なのは、アレハンドロ・ホドロフスキー監督が、人間の一生をモグラのそれに引っ掛け、儚く虚しいと悲観しているのでは、決してないことだ。 むしろ反対に、情熱的に生き、死に値するほどの啓示を手にして生を全うする、そうしたアクティブな生き方を示唆しているのだ。 そして、例えエル・トポの得た悟りが、絶望であったとしても、何もせず、何も得られず、漫然と生き長らえる人生よりも遥かに、彼の人生は意義あるものに違いないのだから。 この映画の物語は、旧約聖書にそった、創世記、預言書、詩篇歌、ヨハネ黙示録の4つのパートから成り立っていて、札付きのガンマン、エル・トポは、我が子を捨て、女と共に旅立ちます。 やがて彼は、砂漠にいる4人のマスターと一戦を交えるため、彼らを求めて砂漠を放浪し、4人全てを殺したエル・トポには死の影が------。 このエル・トポが次々と殺していく4人のマスターは、地、気、火、水を象徴していて、4という数字そのものは、アルメニアの思想家グルジェフが規定した4つの意識状態、つまり、眠り、覚醒、自己意識、客観意識に由来し、死んだエル・トポの顔を覆う蜂の蜜は、イスラムの神秘思想の"復活と神聖"のシンボルだ。 かつて、この映画を初めて観た時、正直なところ、ただただ圧倒されるばかりで、画面の中で何が起こり、それがどう展開していったのか、わからなかった。 脳裏に鮮烈に焼き付いていたのは、灼熱の太陽に照らされた広大な砂漠と獰猛な美しさ、そしてエル・トポと二人の女の奇妙な三角構図、地下に住むフリークスたちの穏やかで哀しげな表情------。 それでも観終わった後の口では言い表せないような虚脱状態の中で、これは、とんでもない傑作だと確信したのです。 ホドロフスキーの映画を観た後は、まさに"映像に撃たれる"という衝撃をいつも味わうのだ。 画面を一目観るなり、全身を貫く激しいショックと痺れるような陶酔感。 それは、カットが変わるにつれて倍増し、私の心と体を撃ち続けるのだ。 そして、その衝撃力のあまりの凄まじさに茫然自失となり、知らぬ間に明るくなった画面を訳もなく凝視している自分を、一体、何度発見したことだろう。 このホドロフスキー監督の作品が持つ、とてつもない衝撃力の源泉は、何と言っても、強烈な色彩に彩られた、シュールでパッショネイトな映像の力だと思う。