
星ゆたか

Sunflower
Avg 3.6
2022.5 2022年3月。タイトルにもなっている、広大なる“ひまわり”畑のロケが、ウクライナ地方で行われたかの理由で再公開されている。ロシアのウクライナ侵攻での支援金を、興行収入の一部から充てられるとのことだ。 制作当時、イタリア映画として初めてソビエト国内での撮影を許可されたという。大プロデューサー、ジョセフ・E・レビンとカルロ・ポンティの2人が10年もの準備期間を費やした作品だとか。 激戦のソビエト戦線に新婚の夫を送った妻が、終戦になっても帰らない夫を捜して、国交回復後のソビエトを訪れるという物語だ。 大地を覆いつくすばかりに茂るひまわり畑も、冬になれば雪に埋もれてしまう。その大地には、多くの兵士や庶民のしかばねが眠っていた。とのナレーション。 最初の30分ぐらいまでが、イタリアでの新婚時代のエピソード。 浜辺で抱きあい女の耳飾りを飲み込んで咳き込む男、巨大なオムレツを作り過ぎ、もう卵を見るのも嫌だとするところ。別れ難く、男は狂人を装おって出兵を免れようとして失敗する。この辺の喜劇タッチの間合いも、マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンの手馴れた熟練のコンビぶりが、見せてくれました。 そして中盤からラストにかけて、戦争のもたらした運命の仲違いで、別々の人生を歩まねばならない覚悟の瞬間に見せる別れの芝居。(悔しさ、切なさ、愛しさ。) お互いの顔を見つめ合う数秒づつの、駅での走り去る列車とホームでの交互のショット割りは、まさに映画史上に残る名場面です。 ただこの映画は、物語の主人公達の20数年以上の時間の隔たりを経ての人生なので、その時間の経過をもう少し感じさせて欲しかった。(描写を増やしても‥‥もしかしたら編集でカットされたか) それぞれに別の相手ができ、子供も生まれた変化があるわけだから。 それにしてもジュゼッペ・ロトゥンノの深みのある撮影は素晴らしい。 そしてヘンリー・マンシーニの時間の波のように繰り返されるテーマ曲。 これは私の愛好の映画音楽。数あるその中でも、ベストテンに入れたいぐらい好きな1曲です。 イタリアン・ネオリアリズムの旗手と謳われた、ヴィットリオ・デ・シーカ監督。(1901~1973) 「靴みがき」(1947)「自転車泥棒」(1948)「ミラノの奇蹟』(1950)「ウンベルトD」(1952)「終着駅」(1953)「屋根」(1956)「ふたりの女」(1960)「昨日・今日・明日」「あぁ結婚」(1964)「悲しみの青春」(1970)などと並ぶ晩年の傑作ですね。