レビュー
ジュネ

ジュネ

9 years ago

4.5


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ドラッグ・ウォー 毒戦

映画 ・ 2012

平均 3.4

数々の香港ノワールを手掛けてきたジョニー・トーが麻薬戦争を主題に繰り広げるサスペンスなんですが、これまでになかったほどシリアスで淡々とした展開が続き、いつものようなラム・シューのコミカルな演技も全く見せどころがない、新境地に達した一作ではないかと思います。 この乾ききった世界観には若干面食らったものの、とにもかくにも麻薬シンジケートの下部で働く男テンミンを演ずるルイス・クーの演技が素晴らしく心をつかんで離しません。警察に協力する姿勢を見せるこの男の本性が徐々に明らかになっていく過程は狡猾だが人間臭く、呆れを通り越して感嘆すら覚えます。 そして登場人物が一堂に介し突如として始まる終盤の13分は、これまでのドライな雰囲気を一瞬にして血生臭い地獄へと変貌させる恐ろしいシークエンスで、「ジョニー・トーここにあり」と言わざるを得ない出来です。 単なる暴力沙汰を描いたチープな一作ではなく、麻薬をめぐる抗争を通して人間の生きざまをダイレクトに感じることのできる、優れた人間ドラマに仕上がっています。