レビュー
ジュネ

ジュネ

7 years ago

2.5


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主戦場

映画 ・ 2018

平均 3.8

2019年104本目はユーチューバーとしても知られるミキ・デザキ氏が、慰安婦問題について関係者に取材を繰り返し編集したドキュメンタリー『主戦場』。 戦場の言葉にふさわしくミキ・デザキ氏のベラベラとまくし立てるようなナレーションに乗せ、次から次に対立する関係者たちが現れては時に過激な言葉で持論を展開します。これだけの人に取材を重ねて一本の映画に仕上げたことは単純に凄いと思いますし、その熱意は買うべきでしょう。 しかし、中身はかなり監督自身の思惑・偏見によるところが多く、慰安婦問題を考えるきっかけとするには取扱注意な代物です。劇中には杉田水脈を始めとした極端な国粋主義者が数多く登場しますが、そんな人たちにインタビューを取ったところで冷静な意見など聞けるはずもないのは分かりきったことです。 ところが、それがあたかも保守主義の総意であるかのように描かれていますし、インタビューの切り取り方も悪意に近いものを感じてイマイチ入り込めません。終いには慰安婦問題の形を借りた安部政権や自民党・アメリカ批判へと矛先が変わってしまい、問題の本質がブレているのもかなり変だと思います。 ドキュメンタリーと言えど作り手の脚色や意図が混入するのは当然のことですし、その虚実の境目を楽しむのがドキュメンタリーの見所でもあるんですけれど、ミキ氏は映像作家と呼ぶには些か中立の観点を欠きすぎている気がしました。 この映画を最も見るべきなのは途中でこれまた悪意丸出しで出てくる、慰安婦の言葉すら知らない無知な若者たちのはずですが、彼らが見終わった後に偏った意見や知識に影響を受けてしまうのではないかと心配でなりません。