レビュー
星ゆたか

星ゆたか

1 year ago

3.0


content

ザ・スクエア 思いやりの聖域

映画 ・ 2017

平均 3.0

2025.2.1 リューベン·オストルンド監督(74年スウェーデン出身)の作品は。 先日「逆転のトライアングル」(22)を見たばかりだったのだが。 本作も同監督作品で同じようにカンヌ映画祭でパルムドール受賞とは鑑賞後知る。 どうりで彼のユーモア感覚はどうも私好みでない。 一例をあげれば。 「逆転の…」あのファッションモデル男女コンビの“食事支払いを廻って主張会話のしつこさ”を。 本作では性行為後のコンドームを男女のどちらが捨てるかを、しまいには“引っ張りあって”まで見せるしつこさは。 『どうでもイイ感覚』で!?。 更に、こういう相手とはあまり関わりあいたくないと考えず。 本作では女の方が男の職場まで訪れ。 “関係性の確認”するまでのしつこさである。 こう言う嗜好性レベルは、どういう食生活から。 あるいは民族的?教育的?からくる性格、言動?と首をかしげる。 前ぶりが長くなったが。 私の好みはそうであっても、だからといって勿論どうでもいい映画ではない。一考に値する作品である事に間違いない。 本作は、ある現代モダンアート美術館のキュレーターを主人公にした。 新作展示❲地面に正方形を描いたザ·スクエア❳を廻り。 PR動画炎上拡散騒動によって職を辞す顛末になる諷刺喜劇である。 ❲ザ·スクエア❳には『すべての人が平等の権利を持ち公平に扱われる』と言うサブタイトルが付く。 だから『その領域にいる人が困っていたら貴方は助けなければいけない』となる。 そこにある主旨には。 キュレーターの祖父が子供の頃の時代には。互いに人々は信頼を寄せていて。 『何かあった時の為に住所の書かれたタグを首にぶら下げて遊んだものだったが』 『今日では人を見たら不審者ではないかと疑惑の目を向ける』からだとある。 本作では主人公が街頭で。 狂ったように『助けを求める娘』に、驚いていると。 たまたま側にいた男に声をかけられて(これは仲間?)対処している間に財布と携帯をスラレル展開から、その対処として警察に通報するでなく。 携帯のGPS機能を使い、スリの住みかを断定した。 そして美術館スタッフの助言で。 住人全員に『すぐさま携帯と財布を返せ!そうでなければ』という脅迫状を。 一軒一軒ドアの郵便受けに差し入れする計画を実施した。 (ここでも案を考えた人間と、それを実行する人間との区別との念入りの描写があって。) その結果驚いた事に無事お金もそのまんま戻ってきた。 ただその後1人の少年からシツコク。負の反応として。 『あんたの脅迫状のせいで僕は両親から泥棒扱いされ困っている謝れ!』と再三騒がれ。 しまいには住居まで押し掛け来るではないか。 主人公は反省し改心して少年の所へ訪れるが、引っ越ししたという結末に。 更に前記した世間からの思わぬ反応バッシング!。 財布と携帯が盗まれた段階で警察に通報しないのか? という疑問はずっとあって。 更にもう一つ強烈な場面で。 美術館の展示作品の一つで。 『怒るモンキー人間』があり。 そのデモンストレーション展示の一環として。 あるパーティー会場のこの男の“出張”場面がある。 そこではテーブル事にその上半身裸のモンキー風動きの男が客に無言で絡んでゆく。 パーティー会場の客も最初は大人のユーモアを分かる度量で接していたが。 その度を過ぎた触れ方に耐え切れず退所してしまう者も出て。 そしてある若い女性に対してのセクハラまがりの迫り方には恐怖を感じ、女は助けの悲鳴!をあげる。 しかし会場全体の出席者が凍りついて黙認している。 ここで主宰者のあの代表のキュレーターも一歩も一言も反応しないオカシサ⁉️はどうだ。 この展開は所謂《傍観者効果》(バイスタンダー)の描写だからだ。 それは社会心理用語で。 『他人が助けを求めている時自分以外に傍観者がいる場合率先して行動を起こさない』事を言うらしい。 だからあえて主宰者も動かないし。 普通なら何かあった時の為に警備会社と契約するだろうにそれもないし。その人間もいない。 しかし映画ではここで、1人のそのモンキー人間を取り押さえようとする人間がようやくでたら。 堰を切ったように、次々に男どもが(年配客)握り拳を掲げて殴りかかる映像の終焉である。 (その後どうなったかは描かない。) 監督は今から7·8年前に既にある危惧を語っている。 『人間はハプニングに見舞われた時に、秩序だった世界を逸脱するような、隠された野生が不意に顔を覗かせる』 そして同時に『世間の注目を集める為に物議を醸し出す意図的な過激な動画を発信拡散させる』スウェーデンの実態を明らかにして。 だから『映像は最も強力な表現手段であると同時に最も危険なもの。この映画をきっかけに友人達と様々な議論をしてほしい』と語っている。 まさに日本でもニュース等で選挙の時のSNS世界の影響の大きさを実感している世相状況で。 自分の好み以上に。 改めて本作に込められた意義の重さを感じる次第だ。