レビュー
kom

kom

11 months ago

3.0


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ブリキの太鼓 ディレクターズ・カット

映画 ・ 1979

平均 3.4

凄まじい映画だった。世界のグロテスクさを子供の目からこれでもかと描ききった作品。 大人の醜さ、矮小さ、哀れさ、切なさ、そういったものを淡々と見せていく。中身の重さの割にあまりに淡々と進んでいくので、感情の持っていき場がなくなるほど。 主人公のオスカルは3歳で成長を止めたという設定だが、どう見ても3歳には見えない。6歳くらいに見えるけど…と思っていたら実年齢は11歳だったらしく、混乱。現在の倫理観ではアウトすぎる性的なシーンが多く、児童ポルノ扱いされた歴史があるというのも「まあ…」といった感じ。 次々と自分の大切な人が死んでいくでお馴染のオスカルなのだが、どの死にもかなり明確に関わっているというのが何とも言えないところ。演じた少年の不気味な表情と相まって、まるで死神かのようにも見えてくる。幼い子どもの目で第二次世界大戦の始まりから終わりまでを描くをいう目的のために編み出された「成長しない」という設定は見事で、だがそれ故に彼の外見と中身とのアンバランスさに観ていてぞわぞわさせられるのも事実。とても子どもに見えるときもあればとても大人に見えるときもある、演じた少年がとにかく素晴らしい。 一つ一つは割と地味なのに、どのシーンも強烈に印象に残っており、忘れられそうにない。けれども思い出すと胸にずっしりと重りが乗っかったような心地になり、あまり多くは語れない。怪作。