ブリキの太鼓 ディレクターズ・カット
Die Blechtrommel
1979 · ドラマ/戦争 · 西ドイツ, フランス, ポーランド, ユーゴスラビア
145分



鬼才、フォルカー・シュレンドルフ監督が、戦争に揺れる激動のポーランドを舞台に描く異色の人間ドラマ。醜い世界に失望した3歳の少年・オスカルは、階段から落ちることで不思議な能力を得る。この情報は[ブリキの太鼓 ディレクターズ・カット]に基づき記載しています。
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矢萩久登
5.0
早稲田松竹クラシックスvol.235/『退廃する街で』と題した特集上映にてフォルカー・シュレンドルフ監督『ブリキの太鼓』(1979)、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品『ベニスに死す』(1971)の2本立て鑑賞。 『ブリキの太鼓<劇場公開版>』(1979年/142分) 高校生以来、実に35年ぶりの鑑賞。 当時は『オーメン』(1976)や『キャリー』(1976)、『ブラジルから来た少年』(1978)、『チャイルド・プレイ』(1988)のような子どもを題材にしたドイツのホラー映画と勘違いしてレンタル、仰天した思い出がありますね。 産まれた時から大人顔負けの知性を持っているプロットは、市川崑監督『私は二歳』(1962)や『ベイビー・トーク』(1989)に近いですが、3歳で成長することを止め、「子どもの着ぐるみ」を着ながら、冷静に大人の目線で世間を洞察。 第1次世界大戦~ナチス政権下~敗戦までの激動のドイツを、時の権力に翻弄され、日和見的に思想や信条を日々変化させる狡猾で不甲斐ない大人たちをシニカルに描いているのが秀逸。 ファンタジー、寓話的な作品に見せかけ、当時の国家の方針が決して政権だけでなく、民衆も積極的に賛同したことをきちんと描かれている点はドイツ映画としても珍しいですね。 カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞、アカデミー外国語映画賞を獲得したのも納得です。
dreamer
5.0
"奇想天外で挑発的な映画的陶酔を味わえる珠玉の名作" 映画「ブリキの太鼓」は1979年のカンヌ国際映画祭でフランシス・F・コッポラ監督の「地獄の黙示録」と並んでグランプリを獲得し、また同年の第51回アカデミー賞の最優秀外国語映画賞も受賞している名作です。 原作はギュンター・グラスの大河小説で二十か国語に翻訳されていますが、あとがきの中でグラスはこの小説を執筆した意図について「一つの時代全体をその狭い小市民階級のさまざまな矛盾と不条理を含め、その超次元的な犯罪も含めて文学形式で表現すること」と語っていてヒットラーのナチスを支持したドイツ中下層の社会をまるで悪漢小説と見紛うばかりの偏執狂的な猥雑さで克明に描き、その事がヒットラー体制の的確な叙事詩的な表現になっているという素晴らしい小説です。 この映画の監督はフォルカー・シュレンドルフで、彼は脚本にも参加していて、また原作者のギュンター・グラスは台詞を担当しています。 原作の映画化にあたってはかなり集約され、祖母を最初と最後のシーンに据えて全体を"大地の不変"というイメージでまとめられている気がします。 そして映画は1927年から1945年の第二次世界大戦の敗戦に至るナチス・ドイツを縦断して描くドイツ現代史が描かれています。 この映画の主要な舞台はポーランドのダンツィヒ(現在のグダニスク)という町であり、アンジェイ・ワイダ監督のポーランド映画の名作「大理石の男」でも描かれていたひなびた港町で、この町は第一次世界大戦後、ヴェルサイユ条約により国際連盟の保護のもと自由都市となり、そのためヒットラー・ナチスの最初の侵略目標となりました。 まさにこの映画に出てくるポーランド郵便局襲撃事件は第二次世界大戦の発火点になります。 そしてこの映画の主人公であり、尚且つ歴史の目撃者となるのが大人の世界の醜さを知って三歳で自ら1cmだって大きくならない事を決意して、大人になる事を止めてしまったオスカルは成長を拒否する事によって、ナチスの時代を"子供特有の洞察するような感性と視線で、社会や人間を観察していきます。 オスカルは成長が止まると同時に不思議な超能力ともいうものが備わり、太鼓を叩いて叫び声を発すると居間の柱時計や街灯のガラスが粉々に割れたりします。 この奇声を発しながらブリキの太鼓を叩き続けるオスカルの姿は、ナチスによる支配下のポーランドの歴史そのものを象徴していて、フォルカー・シュレンドルフ監督は原作者のギュンター・グラスの意図する二重構造の世界を見事に具現化していると思います。 超能力などの非日常的な要素を加味しながら、ポーランドの暗黒の時代を的確に表現した映像が我々観客の脳裏に強烈な印象を与えてくれます。その暗いイメージは、特に海岸のシーンで象徴的に表現していて、不気味な映像美に満ち溢れています。 オスカルはドイツ人の父親を父として認めず、ポーランド人の実の父をも母を奪う男として受け入れません。 この二人の父親はオスカルが原因となって不慮の死を遂げ、また気品と卑猥さが同居する母親も女の業を背負って狂死します。 この映画の中での忘れられない印象的なシーンとして、第二次世界大戦下、オスカルの法律上のドイツ人の父親はナチスの党員になり、パレードに参加します。 そのパレードの最中に威勢のいいマーチがファシズムを讃え、歌いあげる時、演壇の下に潜り込んだオスカルが太鼓を叩くとマーチがワルツに変わってしまい、ナチスの党員たちまでが楽しそうにワルツを踊り始めるというシーンになります。 この意表をつく映像的表現には、まさに息を飲むような映画的陶酔を覚えます。 このダンツィヒは歴史的には自由都市でしたが、ポーランドの領土になりドイツ人の支配を受け、その後、ソ連軍によって占領される事になります。 オスカルは戦後、成長を始めましたが、若い義母と一緒に列車で去って行く彼を郊外から一人で見送る祖母の姿にポーランドという国が抱える拒絶と抵抗と絶望との暗い時代を暗示しているように感じられました。 尚、主人公のオスカルという子供が成長を止めたというのは、第二次世界大戦下、ナチス・ヒットラーの暗黒時代をドイツ国民が過ごした事の象徴であり、撮影当時12歳だったダーヴィット・ベネントのまさに小悪魔的な驚くべき演技によって見事に表現していたように思います。 とにかくこの映画は全編を通して"奇想天外で挑発的であり、映画的陶酔を味わえる、まさに珠玉の名作"だと思います。
うにゃ
3.5
ネタバレがあります!!
ひでP
4.0
2024年01月13日Amazonプライム、無料配信。 奇異なキャラクター、グロテスクな描写、毒気のある内容、時代的にも1979年制作な故のセンセーションを起こす。 1920~40年代の激動のポーランドを舞台に、3歳で自らの成長を止めた少年の視点から大人の世界を描く。 第32回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。 第52回アカデミー外国語映画賞受賞。 原作、後年ノーベル文学賞を受賞するドイツの作家ギュンター・グラスの長編デビュー作。 監督、ニュージャーマンシネマを代表するフォルカー・シュレンドルフ。 ポーランドの港町ダンツィヒ。 3歳の誕生日を迎えたオスカルは、従兄との不倫を続ける母、臆病者の父、大人たちの醜い世界に嫌気が差し、自らの成長を止めてしまう。誕生日プレゼントのブリキの太鼓を叩きながら奇声を発するとガラスが割れるという不思議な能力を身につける。 ナチス台頭で町の平和が脅かされ、オスカルの家族を悲劇が襲う。
いやよセブン
5.0
ポーランドに住む少年オスカルはナチスが台頭する頃、まわりの大人から早く大人になれ、と言われるが、その大人たちのいい加減さにあきれ、自ら成長を止めてしまう。 同時に、甲高い声を発するとガラスが割れるという特技も身につける。 ポーランドのダンチッヒにはポーランド人、ドイツ人、ユダヤ人が住んでおり、オスカルのまわりにいる人たちもそれぞれ、過酷な運命と向き合うことになる。 ヨーロッパ的なグロテスクさにあふれた作品で、牛の首でうなぎの漁をするシーンは悪夢になりそう。 また、ナチスの集会で、あの独特の行進の最中、オスカルが太鼓をたたくと、ワルツに変わるシーンも印象的だ。
GON
4.5
「大人になんかなりたくない」 大人の都合で溢れかえった世界に嫌悪感をもってた子供時代。その頃の自分を思い出す作品。 ✦✦✦ 郷愁とは別物の子供時代に感じたやるせなさ、閉塞感。 鬱屈とした気持ちをその当時の時代背景と絡みあわせ昇華させたストーリー。 エロさとグロさのコントラストに驚愕しつつ、人を愛する事の歯痒さ汚さ尊さを考えさせてくれた映画だった。 ✦✦✦ 今でも心に残る名作。
自己man映画評論家
1.0
よく分からなかった。
kom
3.0
凄まじい映画だった。世界のグロテスクさを子供の目からこれでもかと描ききった作品。 大人の醜さ、矮小さ、哀れさ、切なさ、そういったものを淡々と見せていく。中身の重さの割にあまりに淡々と進んでいくので、感情の持っていき場がなくなるほど。 主人公のオスカルは3歳で成長を止めたという設定だが、どう見ても3歳には見えない。6歳くらいに見えるけど…と思っていたら実年齢は11歳だったらしく、混乱。現在の倫理観ではアウトすぎる性的なシーンが多く、児童ポルノ扱いされた歴史があるというのも「まあ…」といった感じ。 次々と自分の大切な人が死んでいくでお馴染のオスカルなのだが、どの死にもかなり明確に関わっているというのが何とも言えないところ。演じた少年の不気味な表情と相まって、まるで死神かのようにも見えてくる。幼い子どもの目で第二次世界大戦の始まりから終わりまでを描くをいう目的のために編み出された「成長しない」という設定は見事で、だがそれ故に彼の外見と中身とのアンバランスさに観ていてぞわぞわさせられるのも事実。とても子どもに見えるときもあればとても大人に見えるときもある、演じた少年がとにかく素晴らしい。 一つ一つは割と地味なのに、どのシーンも強烈に印象に残っており、忘れられそうにない。けれども思い出すと胸にずっしりと重りが乗っかったような心地になり、あまり多くは語れない。怪作。
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