
てる

パリ、テキサス
平均 3.7
恥ずかしながらヴィム・ヴェンダース初めて観ました。午前十時の映画祭です。 どうせ説教臭い、映画好きにしかわからないような作品だと思っていたら、全く違った。分かりやすいし、面白い。 なんかまたむっつりした男が出てきたよ。こいつもしや最後まで口を開かないんじゃないかと不安だったが、杞憂だった。とはいえ、この男、言葉が少ない。序盤の方は、もしかして発達障がいなのかと疑ってしまうくらい言葉を発しない。話さなすぎてもどかしいのだけど、息子のために見栄を張って弟の良いスーツを借りたり、可愛いとこがある。むっつり黙っているので、息子に対してどう思っているのか全くわからなかったが、大事にしているというのがわかって、ほっこりした。8ミリフィルムの動画は涙が込み上げてきた。 その後、母を訪ねて親子のロードムービーが始まる。それがまた、この二人の旅路がたどたどしくて不安になる。この親父を信じていいのだろうか、息子は弟夫婦に預けていた方が彼のためになるんじゃないかと何かと心配になる。 本当によくあんな頼りない手掛かりで見つかったもんだ。その辺は映画の嘘ということで許そう。 ジェーンを奇跡的にも見つけてからが、またもどかしい。そんな無防備に店をふらふらするなよぉ。通報されるぞぉ。従業員に人を探してるんですって言えよとかとにかくハラハラする。そして、ようやく彼女と数年ぶりに会えたというのに、この男ときたら、全く言葉が出てこない。素性も明かさない。 劇場で叫びそうになった。 しっかりしろよ! ちゃんと話せよ! 結局、ハンターにも直接話すことなく、録音でお茶を濁す。なんて情けない男なんだ……。 再びジェーンに会いに行くトラビス。そこでようやく明かされる物語。本当にどうしようもない夫婦だなと思わされる内容なんだけど、それよりもトラビスがしっかりと自分の過去や想いを語っていることに胸が熱くなる。そっかぁそんなこと思っていたのかぁ……。 序盤の伏線やタイトルの意味をしっかり回収している。 ジェーンは完全にろくでもない親なんだけど、ハンターが黙って抱きついたことにより全部消し飛んだ。やはり、母親って特別なんだよね。 最後はトラビスが1人で去っていくわけなんだけど、トラビス一家と弟夫婦でその後揉めそうだけど、でも誰も傷つかず、無事に? 終わってよかった。 この作品が面白いのって家族の愛を描いているからだと思う。あと、悪い人が出てこないとこ。 トラビスというなんの過去も語らない謎の男だけで持っている映画なのだ。始めは兄弟の不穏なロードムービーで、その後は危なかっしい親子のロードムービー。 あっちに行ったり、こっちに行ったり、忙しい内容なんだけど、家族っていうものに常に焦点があっているからとても分かりやすくて、感情移入しやすくて、普遍的な価値観の作品なんだと思う。 ヴィム・ヴェンダースの作品をもっと観なきゃ。