レビュー
【レス映画】 人種も性別も、マイノリティーがマイノリティーとして描かれず普通に存在する、偏見もジェンダーもレスなイマドキ映画。友情物語もオシャレ感も、本気で笑わせにくるコメディ要素も、映画の面白さはエンドレス。 ◆概要 「リチャード・ジュエル」オリビア・ワイルドの長編監督デビュー作品。 出演:「レディ・バード」ビーニー・フェルドスタイン、「ショート・ターム」ケイトリン・デバー ◆ストーリー 優等生のエイミーとモリーは、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知る。勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティへ繰り出すことを決意する2人だったが……。 ◆見どころ 人種も性別も多種多様。各キャラも爆裂で要素は完全渋滞なのに明確で伝わりやすい。そして描かれ方がとってもイマドキでオシャレ。何度も吹き出すコメディ要素や、若さ爆発のエネルギー、そして揺るぎない友情物語。終始楽しく見れる。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆多様性 まずはとにかくこれ。黒人もメキシコ系もアジア系も混在するクラスメイト、LGBTQがもはや普通だと言わんばかりの何気ない存在感。各キャラ爆発のカオスな教室で、しれっとジェンダーレスなトイレだったし、マイノリティーがマイノリティーとして描かれない、逆説的に普遍性が描かれている絶妙さが素晴らしかった。 ◆凝縮 ガリ勉女子が、一夜弾けるために四苦八苦する単純明快なストーリーながら、それが2時間の映画になる内容の濃さ。ジャレッドのガラ空き船上パーティーに、ジョージの演劇パーティー、やっと辿り着くニックのパーティーで起こる悲劇。速いのか遅いのか、目まぐるしく変わる展開が見飽きない。会話しながらなんか踊っちゃう冒頭から、ノリでパンケーキに向かっちゃうラストまで、モリーとエミリーのどこかイマドキでエネルギーに溢れた友情が軸にあるのもとても見やすい。 ◆昼夜 ジジのアッシーで、自分Tを作っちゃうぶっ飛びキャラなのに、本当は思いやりのある優男なジャレッド。タクシー副業してしまう校長先生に、生徒のプラムに参加しちゃうノリノリ担任。学校という昼の場で表面上しか見えてなかったクラスメイトや先生達が、そんな一夜で次第に真の部分が見えてくる。昼夜の差が、そのまま内面を知る差にも繋がる、色分けされた構成だったようにも思えた。 ◆コメディ ポルノ音声が校長の車で爆音再生され笑、髪の毛で変装し笑、モリーがニックと妄想ダンス笑、どこにでも現れるジジ笑、娘のオナニーパンダの匂いを嗅いじゃうママ笑、それを叩き落とすモリー笑。数え切れない程笑えるポイントがあるのもいい。 ◆ まあとにかく見飽きない映画でした。担任もジャレッドもジョージも、結局ニックのパーティーにいるんかい!って心の中で小さく突っ込んだけど笑、そんな事がどうでもよくなる中身の濃さ。若さのエネルギーが伝わってくる、元気を出したい時にまた見たい映画。 ◆トリビア ○本作製作に際して、監督が参考にした映画は『ビバリーヒルズ・コップ』(1984)や『リーサル・ウェポン』(1987)だった。(https://news.yahoo.co.jp/articles/7858ccef09f6009af3d9ddc1d3b8e94e9cd4f12c) ○ タイトルのbook smartとは、勉学に励む頭の良い人を指す形容詞または名詞であるが、同時に「学識はあるが常識がない」という、否定的な意味も含んでいる。(https://news.yahoo.co.jp/articles/7858ccef09f6009af3d9ddc1d3b8e94e9cd4f12c&page=3)
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