レビュー
2019年266本目はフランスで大ヒットとなった『最強のふたり』をアメリカでリメイク、『the upside 』。 ------------------------------------------------------------ ケヴィン・ハート演じる無礼千万だが飾り気がなく陽気なデルと、教養に溢れるがやや卑屈な富豪フィリップが、立場や身分を超えて真の友情を築く物語…なんですけど、オリジナルに比べるとどうも中身が薄味に感じます。私はそんなに原版に強い思い入れもないんですが、リメイク版を見ることで元の良さを認識する結果になってしまいました。ブライアン・クラストンとケヴィン・ハートの2人は与えられた仕事をパーフェクトにこなしてるとは思います。 ------------------------------------------------------------ まず、デルが移民として非常に苦しい立場に置かれているという背景がなくなり、刑務所から出てきたばかりの貧困層として描かれているため、図式が単純化されています。また、終盤に両者が仲違いする理由があまりにも浅はかで、これではフィリップが単なる頑固じいさんにしか見えません。2人の間には経済的格差、障害の有無、果ては肌の色に至るまで様々な違いがあるはずです。 ------------------------------------------------------------ ところが、こうした要素を2人が友情を築いていくまでのメソッドとして何一つ活かせていないので、普通の人が友達を作ったのと何ら変わりないストーリーになってしまっています。ニコール・キッドマンやゴルシフテ・ファラハニの美貌は目の保養になりましたが、あまり見所は感じられません。劇場公開に先んじてAmazonプライムで公開していたので、それに早く気づいておくべきでした。
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