レビュー
2020年103本目は、人を幸せにする不思議な植物がやがて不穏な影を呼び寄せる『リトル・ジョー』。 ------------------------------------------------------------ ザワザワと何か良くないことが起こりそうな気配を100分間延々とキープし続けるサスペンスで、「静寂」の2文字に相応しい内容となっています。各シーンで頻繁に使われる、和太鼓や尺八を用いた謎の日本風BGMもこれまた印象的で、良くも悪くも「風変わり」な一作になっていることは間違いありません。リトル・ジョーは確かに花粉を吸った人間にとっては開放的な気分となり、幸福感を感じます。 ------------------------------------------------------------ ところがその周囲にいる人間にとっては、まるで違う世界に行ってしまったかのような疎外感や孤独感を味あわせることとなります。これはマリファナやコカイン、最近ではそれ以上に社会問題化しているオピオイドといった「薬物」の暗喩なのでしょう。いつの間にか知らない形でコミュニティに溶け込み人間を支配する、劇的なドラッグが誕生する日が来るかもしれません。 ------------------------------------------------------------ とはいえ話をやたらと冗長に引き延ばしている感は否めず、リトル・ジョーが人々にもたらす変化も、傍目から見ると「単に考え方が変わっただけじゃないの?」という程度。物語の浮き沈みがあまりにも極少で正直眠くなってきますし、もうちょっと分かりやすい事件や暴力を取り入れても良かったのでは…と空気の読めない提案の1つもしたくなる1作でした。
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