レビュー
dreamer

dreamer

4 years ago

3.0


content

スペースバンパイア

映画 ・ 1985

平均 2.9

ハレー彗星の調査に行った宇宙船が、奇妙で巨大な浮遊体を発見。中に何と女性の生々しい遺体を見つける。 宇宙飛行士たちは、その遺体を地球に運び返すのだが、ある夜、突然、蘇生した女は、監視員の精気を吸い取ってしまう。この女は、宇宙から来たバンパイアだったのだ。 精気を吸い取られた人間はぼろぼろの姿になるのだが、他人の精気を吸うことでまた、元に返るのだ。 こうして地球は大混乱。次々と精気を吸い取られた"亡者の群れ"が溢れ出す。 このパンパイアは女の体を通し、吸いつくした地球の精気を宇宙へ送ろうとしているのである。 この謎の浮遊物を発見し、女性の遺体を確認するあたりは、「エイリアン」そっくりのムードだ。 コリン・ウィルソンの原作から脚本を書いたのが、ダン・オバノンとドン・ジャコビーという「エイリアン」の脚本のコンビだから、似るのは当然だが、この出だしはサスペンスいっぱいで、非常に面白い。 だから、人間が精気を吸われ、見る見るうちにしわくちゃになってしまうメイクと映像トリックの面白さには、驚かされながらも、ゾンビの群れがさまようあたりまで来ると、観ている私の想像から生まれるスリルがストップするので、面白さに限界が出て来るような気がする。 だが、この映画、もう一つのところで大いに楽しませてくれる。SFXの衣装をまとっているが、この映画は明らかにノスフェラトウ=吸血鬼伝説の忠実な映画化なのだ。 ノスフェラトウは棺に入ったまま船でブレーメンにやって来た。そして疫病を撒き散らした。 この映画でのスペース・バンパイアは宇宙からカプセルという棺に入り、地球へやって来る。 まさに、疫病を撒き散らすが如く、ゾンビの群れを増やしてしまうのだ。 この"吸血鬼伝説"というのは、ゲルマン民族とユダヤ民族との闘いが裏側に語られていて、ユダヤ系のヘーシンク博士という人物が、執念をかけてドラキュラを追い続ける。 この「スペース・バンパイア」でも、ファラーダという、いかにもユダヤ系の人物を思わせる人物と、アームストロング博士というユダヤ名前の人物がバンパイア退治に力を貸すことになる。 しかし、トビー・フーパー監督や脚本のダン・ドノバンたちは、ゲルマンVSユダヤという図式よりも、もっと別の理念を持ち込んでいるように思えるのだ。 つまり、この宇宙から持ち帰ったカプセルとは、"核"のことなのかも知れない。女性の体を通して精気を集めるという設定に、"生命創造の逆転の発想"を、私は感じてしまうのだ。 だからこそ、カプセルが生命破壊の"核"に思えてならないのだ。