レビュー
女優っていう生き物って大変だと思う。 女ってだけで大変なのになぁ。 その上、年老いてくると、普通の女性以上に葛藤などあるのではないでしょうか。 この作品は、かつて華々しく輝いていたが、歳を重ねてベテランと呼ばれるまでになり、スイスの山奥で自分と作品に向き合うマリアという女優を描いております。 ▼ マリアは無名だった18歳の時にヴィルヘルムの戯曲「マローヤの蛇」という舞台で大成功を収め、スター街道を走ってきた。 18歳ではジグリットという役を演じた彼女は、時を経てジグリットに自殺を追い込まれるヘレナという40歳の女性を演じることに。 戯曲のことなのに、自身の状況と重ねてしまうマリア。 今回のジグリット役、若手新鋭女優のジョアンに 「私がジグリットを演じていた時はー、、」 と演技のアドバイスをしますが、ジョアンに一蹴されちゃいます。 「だから?」 グサッ。 「ヘレナは終わった女なの、“間”なんていらない。観客は次を求めているのよ」 グッサーーー。きっつーーー。 私、女優じゃないけど、ジョアンの言葉が胸に突き刺さりました。 マリアはそれを受け、自分が過去にとらわれ過ぎていたと返します。 ラスト。 楽屋に戻ったマリア。 スタッフに一言聞くんです。 「客入りは?」 スタッフは答えます。 「満席です」 うわぁぁぁぁ!ってなりました。 ここのシーン大好きです。 台詞、表情、完璧。 最後、全部持っていった! ▼ マリア役はジュリエット・ビノシュ。 「老いた女優」という言葉がしっくりくるような、スッピンは普通のおばちゃんだし、体型も崩れていて妙にリアルだった。 ジョアン役はクロエ・グレース・モレッツ。 こちらもゴシップ誌を賑わせる若手女優がピッタリでした。 印象に残ったのはマリアのマネージャー役、クリステン・スチュワート。 私はトワイライトシリーズ観ていないのですが、すごく魅力的な女優だと思いました。 三者三様の女優が、劇中でも三者三様のキャラクターなので楽しめた。 ▼ 自分が老いていくこと、過去の人間だと受け入れることって死ぬほど辛いものだ。 それが女優という職業だとしたら尚更だ。 それでもマリアは舞台に立つし、幕は上がるんですね。
いいね 3コメント 0


    • 出典
    • サービス利用規約
    • プライバシーポリシー
    • 会社案内
    • © 2024 by WATCHA, Inc. All rights reserved.