レビュー
この原作を2時間に収めるのは土台無理な話なのだが、それにしても散漫な演出であり、原作を読んでいない人にとっては、随所で「?」というところがあると思う。 一応、幸田のトラウマと、モモの過去、そしてこの二人の変な友情に絞った脚本にはなっているが、なりきれていないというか、絞り込めていないと思う。 確かに原作においては、北川はリーダーで、その妻、弟は重要なキャラであり、町のチンピラとの関わりから失われるものも極めて重要だが、ことこの映画で全部描ききれるものでもない。思い切って妻と弟、チンピラは省略でも良かったのではないかと思う。この3人に割かれた時間が非常にもったいない。 また、過激派とのやりとりは完全に蛇足で、正直、無い方が良かった。 高村薫は、女性作家とはとても思えない文体のハードボイルドを得意としているが、そうであるが故に映画化は極めて難儀だと考えられる。余計な修飾や描写が少ないだけに、まともに脚色すれば5時間クラスの映画になってしまうのではないかと思う。 その意味で残念だったと思うし、この監督の過去作から鑑みると、悪い意味で予想通りだったような気もする。
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