レビュー
2020年137本目は、実在した女優兼スパイのソニア・ヴィーゲットの伝記ドラマ『ソニア ナチスの女スパイ』。 ------------------------------------------------------------ ソニアはノルウェー・スウェーデンを舞台に第一線級で活躍した女優だったにも関わらず、ナチスドイツに関与した疑いの目で見られてしまい、その後人気が再燃することはありませんでした。映画を見ると分かるようにドイツ主導の作品に主演したのは、「演じ続けたい」と願うソニア自身の判断でもあったわけですが、それを逆手に取られて利用されてしまいます。 ------------------------------------------------------------ 劇中で描かれていることはほぼ事実に則しており、終盤でソニアはとてつもない窮地に追い込まれます。その時のプレッシャーたるや尋常ではなかったと思いますし、いくら舞台慣れした彼女でも吐き気を催すほどの緊張だったでしょう。一貫して浮かび上がるのは、国益という建前のもと人の人生を踏みにじる「国家」の卑劣なやり口です。ソニアを利用した政府は謝罪や感謝を述べるどころか、彼女を脅迫し続けました。 ------------------------------------------------------------ 映画としては娯楽色が薄い堅実すぎる作りのためか、いささか「地味」だと思ってしまいますけれど、もう一度女優ソニア・ヴィーゲットにスポットライトを当てるためには必要な作品だと思います。彼女は裏切者の汚名を着せられたまま、1980年にひっそりと1人息を引き取りました。国が過ちを認めるのは、それから20年も経ってからのこと。ホントに酷すぎる話ですね…。
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