レビュー
劇場で前後篇を分けて観た時より、DVDで通してみた時の方が良かった気がする。 というのは、後篇を単独で観ると少し退屈なのだ。 これは当たり前で、前篇は状況説明のインパクトの高さ、各キャラの説明のスピード感、話が佳境に達する所で続編へバトンタッチされる切れの良さが、後篇を続けて観てもらうために予め計算されてレベルを高めていると思われるからだ。 しかし、通して観ると、やはり映画の主眼は後篇に集約されており、前篇は非常に良く出来た予告編であることが解る。 捕食、共生といった、生物学的、人類学的な命題に、母性、恋愛を絡めて、大きく人類愛を語るなどというところは、使い尽されたテーマなのだが、主人公が図らずも寄生される種との混合種であるところ、しかも「右手」のみということころが新しいと思うし、収束を決めるキャラ田宮良子も、言ってみれば混合種であるところに一貫性があると思う。 原作が、四半世紀以上も前の日本のマンガであるところに驚きを感じる。 それにしても、深津絵里の引き出しの多彩さには感服。「悪人」においての薄倖でシリアスな女性を演じきった完璧さ、「ステキな金縛り」でのキュートなコメディエンヌぶり、本作での「無表情」な中での微妙な表情づくりなどは、今が旬の女優魂が炸裂した感がある。
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