レビュー
ルッジェロ・デオダートが監督を務めた、1980年公開のスプラッター・ホラー。 本作は、ドキュメンタリー作品を制作する為”グリーンインフェルノ”と呼ばれるアマゾンの奥地に向かい、その後消息を絶つ事となる男女4人の行動が記録されたフィルムを、事件を捜査する大学教授のモンローが試写室で再生するという話で、”ファウンド・フッテージの原点”としても有名な作品とのこと。スプラッター・ホラーとしては2013年の『グリーン・インフェルノ』の方がむしろストレートに描かれており、本作では「”野蛮を演出”する文面人」という批評的なメッセージこそが強調されていると思います。フィルムには現地を訪れた白人が家畜を撃ち殺したり、少女を強姦したり、遂には原住民を閉じ込めたまま家を焼き払うまでの蛮行が記録されていますが、これは「ドキュメンタリーを装った”フェイク”」であると同時に「植民地支配や差別・迫害を繰り返してきたヨーロッパにおける”リアル”」だという事が嫌な形で突きつけられます。またその記録映像は「捏造や印象操作によって作られるメディア」の実態も表しており、情報化社会やスマホ社会などと呼ばれて久しい現代の視点から観ても本作の鋭い言及は全く古びていません。 本作に関してはもうラストのセリフが全てを言い表していますよね。またリズ・オルトラーニの優麗なテーマ曲が耳から離れないんだよなぁ。あちこちで警告されている通り残虐描写はどれもこれも心臓に悪いですし、観終わった後では文明も情報も発達した現実世界に戻って来た事にすら微妙な気持ちにさせられてしまいました。これぞ劇薬中の劇薬!色々な意味で取扱注意の作品です。 自分の母親も当時劇場で観たそうですが、これを子供の頃に観るとどうなるんだろう。自分なんか『ファインディング・ニモ』のデカいサメにビビって泣きながら劇場を飛び出した人間ですよ。
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