レビュー
本作の監督・脚本・制作を担当したマイケル・フランコ監督はこの映画を含めてまだ三作しか撮っていないにも関わらず、カンヌ国際映画祭では軒並み絶賛され、本作もまた「ある視点」部門でグランプリを授賞。知名度はまだまだですが、いずれ世に出ることは間違いないでしょう。 この映画はまさに「ある視点」の言葉にふさわしく、クラス一の人気者とセックスした動画がネットに流出したことから恐ろしいイジメに会う娘の様子を、ただただ定点カメラで写し続けるのです。台詞も少なく音楽もないのですが、監督の見事に間を読んだ演出によって、その一連の出来事がまるで自分達の日常にも潜んでいるかのように、実にリアルに感じられます。 劇中ではイジメのことを全く話さない娘と、それに全く気づかない父のディスコミュニケーションが問題として浮かび上がります。何故そんな風になってしまったのか?について明確な答えは提示されませんが、監督の優れた手際のおかげでなんとなく事情は察することができます。 ただ私はイジメ描写にせよ親子間の意思疏通の無さにせよ、あまりにエスカレートし過ぎていて逆に違和感を感じることがチラホラありました。この辺りのバランス感覚は非常に難しいところですけれど、ラストシーンの衝撃を含め一見に値する一作であることは間違いないと思います。
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