レビュー
マルタ

マルタ

1 year ago

4.0


content

関心領域

映画 ・ 2023

平均 3.2

 アウシュビッツ収容所の直ぐ側にある所長の豪邸、そこに住む家族の物語。  庭のダリアや、ひまわりと可愛い子ども達と愛犬全てが絵に描かれたような幸せの象徴。だからこそ対象的な怒号の中で響く銃声、悲鳴が辛く悲しい。  強制労働させられ、お腹もすかしているユダヤ人の為にこっそりリンゴを置いて行く優しい少女が白黒の暗視カメラのような映像に対して他の映像が晴天の自然光で、より一層残酷に感じる。  「お父さん」と泣く子供の声のあとの所長の子供の通学シーン、収容所の灰を土に混ぜる使用人のあとの綺麗に咲くバラ、収容所の電気を消すあとの自宅の廊下の電気を消すシーンなど対比が多くて余計にこの狂った状況がひしひしと胸に伝わった。虐殺が日常になるとこうも人は、無機質で非人道的になってしまうのだろうか。  現代の展示館となった収容所で、虐殺された人の数え切れない靴でさえ私には驚きでショックしかないが、毎日ガラスを拭いている人には日常で慣れが生じるのも恐ろしい。  アンネの日記のように人間は本来善であると信じたい。