関心領域
The Zone of Interest
2023 · ドラマ/歴史/戦争 · アメリカ, イギリス, ポーランド
105分
(C) Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.



1945年。アウシュビッツ収容所の所長ルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)とその妻ヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)たち家族は、収容所と壁一枚隔てた屋敷で幸せに暮らしている。広い庭には緑が生い茂り、そこにはどこにでもある穏やかな日常があった。空は青く、誰もが笑顔で、子供たちの楽しげな声が聴こえてくる。そして、窓から見える壁の向こうでは、大きな建物から黒い煙があがっていた……。
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てっぺい
4.0
【耳で見る映画】 収容所の隣に住む家族の日常。所内の映像がない事で、鳴り響く銃声や叫び声に耳を通じて想像が止まらない。その映画的発想力と音の効果に、国際長編映画賞と音響賞獲得が大納得。 ◆トリビア ○ヘス夫妻は、アウシュヴィッツ強制収容所で最も長く所長を務めた夫妻がモデル。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/関心領域_(映画)) 〇クリスティアン・フリーデルはヘスを演じるにあたり、グレイザー監督から「真実を語る時は目で嘘をついて、目で真実を語る時は言葉で嘘をつくように」と助言をもらったと明かす。(https://natalie.mu/eiga/news/574459) 〇ヘートヴィヒ役を演じたザンドラ・ヒュラーは「家族の住んでいた場所を初めて見たとき、とても驚きました。アウシュビッツ収容所のこんな近くに住んでいたなんて。そして瞬時に彼らがしなければならないことを理解しました。それは、その事実を忘れて生きていくことです。全員が常に同じ緊張感を持って信頼し合い、“何気ない普通の日常”を描き出す努力をしました」と複雑な役を演じた際のモチベーションを明かしている。(https://www.cinemacafe.net/article/2024/03/31/90850.html) ○ポーランド人の少女は監督が調査中に出会ったアレクサンドリアという女性にインスパイアされている。抵抗運動員だった彼女は飢餓に苦しむ囚人のためにリンゴを置くため収容所まで自転車で通っていた。映画で使われている自転車や衣裳も彼女のものだという。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/関心領域_(映画)) ○劇中に登場するヘス家の愛犬ディラは、ヘートヴィヒを演じたザンドラ・ヒュラーが自身で飼っている犬。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/関心領域_(映画)) 〇実在したルドルフ・ヘスの暮らしを綿密にリサーチしていた監督は、家の様子をリアルに再現。さらに環境や演技にもリアルを追求し、通常の映画撮影では必須である照明を使用せず、カメラマンも排除。別室でモニターを確認しながら撮影を行ったという。(https://otocoto.jp/news/thezoneofinterest0517/) またセットのなかに最大10台の固定カメラを仕掛けて、異なる部屋のシーンを同時に撮影するという独特の制作方法も採用している。(https://moviewalker.jp/news/article/1197868/) 〇音楽を担ったミカ・レヴィは「目で観る映画ではなく、むしろ耳で聴く映画」と本作を表現。「私たちは、映画のなかで繰り広げられている暴力を見ることはできないけれど、耳で拾うことができる。そうやって誘うように、音をデザインしました」と語る。(https://moviewalker.jp/news/article/1197868/) 〇ユダヤ人のルーツをもつグレイザー監督は、前作からの10年の歳月をすべて本作のために費やしたという。ルドルフ・ヘスの一家について2年間をかけて徹底的に調べ上げ、ホロコーストの被害者や生存者による何千、何万もの証言もすべて調査し本作を作り上げた。(https://moviewalker.jp/news/article/1192139/) 〇アカデミー賞の授賞式でグレイザー監督は、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃を非難し「人間性の喪失が最悪の事態を招くことをこの映画では伝えています」と力強くスピーチ。「本作はある意味では我々を描いた物語でもあります。我々が最も恐れているのは、自分たちが彼らになってしまうかもしれないということです。彼らも人間だったのですから」とも語っている。(https://moviewalker.jp/news/article/1192139/) ○グレイザー監督は次のように語る。「わたしが考えたのは、人間の原始的な性質である暴力性や、加害者のなかにある我々との共通性について語ることでした。彼らは異常者ではなく、段階的に大量殺人者となった普通の人々であり、自分たちが直接手を下すのではなくその犯罪行為からは大きく隔たっていたために、自身を犯罪者とは思っていなかった。そういった傾向は、わたしたち自身に共通するものでもあるわけです。それこそが本作を今日の観客に関連づける鍵でした。」(https://www.tjapan.jp/entertainment/17699543?page=5) ◆概要 2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門グランプリ、第96回アカデミー賞国際長編映画賞受賞作品。アメリカ・イギリス・ポーランド合作。 【原作】 マーティン・エイミス「The Zone of Interest」(関心領域) 【監督】 「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」ジョナサン・グレイザー 【出演】 「白いリボン」クリスティアン・フリーデル 「落下の解剖学」サンドラ・ヒュラー 【公開】2024年5月24日 【上映時間】105分 ◆ストーリー ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。 タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆音 タイトルと共に不穏な音楽が流れ、その後しばらく音のみで続く冒頭(あれだけ音のみで続く冒頭は他の作品に見たことがない)。本作がこの“音”をキーにしている事がここに刻まれる。それが示す通り、ヘス家に住む人たちの日常に、塀越しに(有刺鉄線の傾斜が収容所側なのが実にリアル)常に届き続ける叫び声や銃声に想像が働き気が気でならない。またその音に“無関心”であり続ける彼らの姿そのものも恐怖。ただこの作品のミソなのは、百歩譲れば次第にその叫び声や銃声がなまじノイズ化していく事。つまり、見ているこちらにも“慣れ”が生じ始めていく。監督は「本作はある意味で我々を描いた物語」だと語っている。到底彼らを理解する事はできないが、“無関心”が生む人間の狂気に自分が映し出されるような、その意味でとてつもない恐怖を感じる映画だった。 ◆関心領域 給仕にヘートヴィヒが“灰にしてやる”と吐くシーンから、その後男性の庭師?が灰を庭の緑にまくシーンが。“楽園のよう”と称えられた庭の緑が真っ赤に染まる印象的なシーンは、おそらくユダヤ人のものであった毛皮を着て鏡を覗くヘートヴィヒのように、それが血塗られたものであると訴えるよう。着飾るヘートヴィヒも彼女が作る緑も、強奪・虐殺のもとに作られたものであり、ルドルフだけでなく彼女も十分鬼畜である、痛烈な揶揄の表現だった。一方で、収容所にリンゴを届けた少女は(実在の人物で、自転車や衣装は本物だという)おそらく同じ“関心領域”の範囲に住むものでありながら、ヘス家とは対照的な善の象徴。白黒で描かれ彼女やリンゴが白、つまり善や純粋さとして表現されているのも印象的で、白黒なのもやはりヘス家との対照表現。ただしそのリンゴすら、虐殺の加担になってしまう描写が何ともやるせなかった。 ◆ラスト “ハンガリー作戦”に向かうルドルフが嘔吐するラスト。あの嘔吐は重圧からくるものか、はたまた呪いか、いや…。監督は「彼らは異常者ではなく、段階的に大量殺人者となった普通の人々」と語っている。もはや鬼畜でしかないルドルフも、やはり人間であり、これから起こる地獄に体の奥底の善が反応した描写だと、自分には思えた。ルドルフが見る先に、現代の収容所(博物館)の映像が乗る。つまりこの先起こる地獄を彼は見据えていた、もしくは見えていたという描写。また同時に、見ている我々にルドルフが視線を向けているようで、まるで“君たちの世界では地獄は続いているか”と問いかけるよう。逆に嘔吐した事で最後の善を失ったルドルフが「ジョーカー」('19)のように階段を降りながら暗闇へ、つまり堕ちていく姿が何とも虚しく、そして恐怖。“無関心”である事の罪の重さを説く本作、現代でも起こっている地獄に対して我々がすべき事を、鑑賞後もズシリと心に残すすごい作品だった。 ◆関連作品 ○「シンドラーのリスト」('93) グレイザー監督が、この作品がある事で本作が虐殺を音のみで表現することにしたという。プライムビデオ配信中。 〇Jamiroquai「Virtual Insanity」MV 監督が手掛けたMV。"得体の知れない狂気"に対して、描かれるスタイリッシュでかつ毒素のある映像が印象的。 ◆評価(2024年5月24日時点) Filmarks:★×3.9 Yahoo!検索:★×4.2 映画.com:★×3.9 引用元 https://eiga.com/movie/99292/ https://ja.wikipedia.org/wiki/関心領域_(映画)
隣の唐十郎
4.0
これを観ると[無関心]ではいられなくなる。 特に何事も起こらないのに、とんでもなく不穏で恐ろしい世界。 塀の向こう側で行われている事を、普通に理解して生活しているとは… そこでは、略奪行為は作物の収穫と同じ意味でしかない。 虐殺は処理作業という普通の社会活動。 痛みへの[無関心]は人間を簡単に悪魔にする。 自分の幸せは、誰かの犠牲で成り立っているのかもしれない。 ふと、足元が暗くなる恐ろしさ
さちゃちゃりーぬ
3.0
収容所から悲鳴や銃声が聞こえても、気にすることなく幸せに暮らす家族。 『音がすごい、音が怖い』と聞いていたのですが、所々急にくる、不協和音みたいな音に本当に不安になるし、怖かった…。耳をふさぎたくなりましたね。 ただ、こっからきっと何かおきるぞ~と期待しながら見てたのだけど、特に大きな何かがおこることもなく、終わっていったので、あれ…?となってしまった。もっと色々起こって~の展開がある方が好みだったかな。 そして私アホなので、どういう事だったんだろ?と思う箇所もチラホラ。もっと分かりやすい方が私は好きです…。 でも、音の怖さを味わうために、映画館で見るのはありな作品だと思います!! 2024.6.8
🥩🥩
3.5
ネタバレがあります!!
hanako
3.5
2025/3/11 アウシュビッツの隣で豊かに暮らす収容所所長家族の日常。 “自分達さえよければいいよね、あとは知らない”という無関心の暴力って、あなたの中にもあるんじゃないですか?という問いかけ。彼らと私たちを隔てるものは、実はあの塀の高さほどもないのではないかという怖さ。 ◆ 不快感に吐き気を催す映画。すごいけど2度と観れないし人にも勧めない。 意図的に挿入される不協和音や冒頭・ラストの音楽も気味が悪いけど、この映画で常に流れ続ける環境音が1番耐えがたい。映画館の良い音響だと耐えきれなくて途中で退場してしまうと思う。 内容について思い出すと辛いので、映画に出てきた家族がその後どうなったのか調べて心を落ち着かせました。 ◆ ◆ ◆【メモ】 ◆ ◆ ルドルフ:1940年アウシュビッツ強制収容所の初代所長に着任。ナチスの命により、効率よく大量にユダヤ人を殺すために尽力した人物。ドイツ敗戦後の1946年に裁判にかけられ、皮肉にも1947年にアウシュビッツの地で絞首刑に処される。彼が残した手記には「軍人として名誉ある戦死を許された戦友たちが私にはうらやましい。私はそれとは知らず第三帝国の巨大な虐殺機械の一つの歯車にされてしまった。」と記載がある。 ルドルフ亡き後の家族は、アウシュビッツでの恵まれた生活とは打って変わって貧しい生活を強いられる。それを思うと、映画で描かれた生活は彼らにとって束の間の平穏だったのかもしれない。 妻:1989年まで生きたが、墓石に名前は刻まれなかった。 インゲ(夜中に廊下に出てしまう娘):アウシュビッツの隣に住んでいた10歳当時の夜中に観た火葬場の煙がもくもくと上がっている光景を覚えており、それを考えると大人になってからも片頭痛がすることをインタビューで語っている。 長男:家族を背負ってシュトゥットガルトに移ったが、「アウシュビッツ収容所所長の息子」というだけでまともな職に就くことが出来ず、若くして死亡。 末っ子(映画の中で、終始泣いていた赤ちゃん):パスポートの出生地に「アウシュヴィッツ」と記載され、生い立ちを隠すことが困難。
たっちゃん-半変人のお調子者-
4.5
アウシュヴィッツ強制収容所の隣で幸せに暮らす所長家族の日常を描く。 音が大事な映画なのは知ってたけど、ここまでとは… 冒頭から度肝を抜かれる。これは映画館で観ないと、観たことにならない作品。 銃声や悲鳴が聞こえるのに、全く気にも留めない家族。恐ろしいけど、ニュースで世界の惨状を見聞きして何もせず終わっている自分もまた同じで、全然他人事ではないのが余計 に恐ろしい。 まぁこの一作を観て、分かったような気になるのもそれはそれで危うい気もするけど… ただラストは余計だったかなと思う。ヘスがあれを幻視するとは思えない(そもそも幻視ではないかもしれないけど)し、時代が違うとはいえ直接的にあれを見せてしまうのは勿体無い気がした。 予告でもあったけど、妻が高級そうなコートを身に纏っている場面は、恐ろしいし、めちゃくちゃムカつく。あれは全部彼らのものだったのに…なに自分のものにしてんだよ… 映画評価基準 この映画が好きか 7 没入感 9 脚本 8 演出 10 映像 10 キャスト 10 音楽 10 余韻 9 おすすめ度 8 何度も観たくなるか 8 計89点
マルタ
4.0
アウシュビッツ収容所の直ぐ側にある所長の豪邸、そこに住む家族の物語。 庭のダリアや、ひまわりと可愛い子ども達と愛犬全てが絵に描かれたような幸せの象徴。だからこそ対象的な怒号の中で響く銃声、悲鳴が辛く悲しい。 強制労働させられ、お腹もすかしているユダヤ人の為にこっそりリンゴを置いて行く優しい少女が白黒の暗視カメラのような映像に対して他の映像が晴天の自然光で、より一層残酷に感じる。 「お父さん」と泣く子供の声のあとの所長の子供の通学シーン、収容所の灰を土に混ぜる使用人のあとの綺麗に咲くバラ、収容所の電気を消すあとの自宅の廊下の電気を消すシーンなど対比が多くて余計にこの狂った状況がひしひしと胸に伝わった。虐殺が日常になるとこうも人は、無機質で非人道的になってしまうのだろうか。 現代の展示館となった収容所で、虐殺された人の数え切れない靴でさえ私には驚きでショックしかないが、毎日ガラスを拭いている人には日常で慣れが生じるのも恐ろしい。 アンネの日記のように人間は本来善であると信じたい。
星ゆたか
4.0
2024.12.6 《ホロコーストの加害者側の視点》 アウシュヴィッツ刑務所所長とその家族(夫婦に5人の幼い子供)の日常を描く。 〈歴史と暴力に向き合う新しい形〉とカンヌ映画祭でも。 アメリカアカデミー賞でも高評価の受賞となった。 被害者への暴力的な描写はなく。 その虐待現場を想像させる、人の叫び声や機械(焼却炉稼動音)の効果音響で恐怖感をあおる演出が特筆している。 「関心領域」ドイツ語(Interessengeblet) 特定の部分だけ画像処理する場合などに用いられる範囲指定の事。 ❲THE·ZONE·OF·INTEREST❳は第2次大戦中に強制収容所周辺40平方キロメートルのエリアの事。 収容所に隣接する所長宅。 これはアウシュヴィッツ記念館の側に現存するが。 傷みが激しく使用出来ないので。 近くに原寸大のセットを設営。 カメラを何ヵ所にも設置し。別室モニターで確認編集して。 ドキュメンタリー作法で制作されたそうである。 【物語】ルドリフ·ヘス.アウシュヴィッツ刑務所所長、妻ヘートヴィヒ夫妻はやっと手に入れた邸宅に住む。 3年かけて婦人自慢の庭も完成し。 今は使用人と共に日頃の維持管理仕事に勤しむ。 この家族皆、隣の収容所でどんな事が行われているのか、うすうす知っているようだが。 また夫を始めゲシュタポの人達はユダヤ人の事を『人』としてでなく。 『物』として扱っている感覚が言葉の節々に感じられる。 だから、しいてあまり深く考えないようにしているのか。 日頃の言動がやはり、どこかオカシイ⁉️。 婦人(サンドラ·ヒュー)はユダヤ人から巻き上げたコートを“どこかで買ってきた”かのように、鏡の前でまとい。 そのコートのポケットに入っていた口紅を抵抗もなく唇に差す。 長男息子は夜な夜な、ベッドで同じく。 ユダヤ人の金歯を気持ち悪く感ぜず、オモチャの如く、もて遊ぶ。 黒い愛犬は妻役のサンドラ·ヒューの飼い犬らしいが。 撮影中、あえて犬の鳴き声効果音を聞かせ。フラフラ落ち着きない風にしたそう。 また夫と妻のキスやベッドシーンはないが。 ユダヤ人の別の女と、この父親·夫は寝た後に。 自分の陰部を丁寧に拭き取ったりする描写がある。 つまり日頃の隣接する“異常な環境”生活は。 人間の正常な理性ある思考を麻痺させて、普通の人から見たらずいぶんオカシナな言動をしている事に。 つまり自分の見たい情報、持ちたい思考だけに囲まれると。 反対意見を持とうとする理念を膠着させ、オカシナ行動をとる事に。 それを現代で言えば、SNS情報の偏りに異を感ぜず。 そのメディアを主体的に読み解く能力を麻痺させる(フィルターバブル現象)のだ。 この映画の80年前の歴史を今の世の中に、あえて問う意義はそこにあるのかも知れない。 映画の開巻、黒い画面が数分長く続く所は。 この異様な物語の世界に、現実の観客の心象を飛翔させる為に必要な空間·時間。 と設けられたのだと受けとった。 監督は音楽のミカ·レヴィに何曲も映画の為に用意させたが。 結局使用したのは、1·2曲だけで。その代わりに。 始終、家庭日常の背景音に。 あの焼却炉稼働音らしき重低音がずっと低く響き不安をあおり。 更に時おり女子供の叫び音声が交わる恐怖感を持たせた。 調査資料によると。 あの時代に隣接家庭の為に。 日中その収容所関連の“音消し”に。 わざわざバイクを走らす音響仕事だけの人員を雇ったという話もある。 また数回サーモグラフィックカメラ撮影の映像が劇中入る場面。 ❲少女が近くから自転車で通い、収容所の人達の為にリンゴ等を作業場近くに置いていく❳様子。 これも証言実話で、12歳の少女の実際やった善行らしい。 何故サーモグラフィ映像かというと。 《人間の活きるエネルギー熱の具象化表現》の為だとか。 映画の中で唯一、人間的感情を持って行動した少女という事だからである。 さてここからは、映画では描かれなかった。 この一家のその後の情報を調べたので記す。 何故なら、ドイツ敗戦の報を聴いたポーランドやチェコスロバキアの人達が。 あの時、〈ドイツ人民への報復行為をした〉の実態が最近になって明るみになったからである。 私はNHKの❲映像の世紀バタフライ·エフェクト❳という番組でその辺の知らざれる虐待の連鎖の歴史を初めて知った。 だからこの映画で描かれた一家の戦後が気になったのである。 まずあの父親アウシュヴィッツ収容所所長ルドリフ·へフ。 彼は敗戦前、指令もあり、単身早目にドイツ海兵になりすまし。 一時は英国軍の捕虜から、事件を起こし。 刑務所に入り恩赦で釈放というくだりがある。 そしてその後、農民生活の中、本人実態を暴かれ逮捕。46年裁判の結果。 47年4月に絞首刑になった。 今回その時の写真も見た。 またそれ以外の身内はというと。 母親と息子、娘はバラバラで。出生がアウシュヴィッツだから、まともな仕事にも付けず。 あんなに贅沢生活からは。 戦後は奈落の底へ。 それでも金髪の綺麗な次女(戦中は夜中に徘徊)はスペインでモデルから米国人と結婚。 渡米し、離婚後、ユダヤ人と再婚80過ぎまで生存した記録。ただ癌を患い自身の息子に看取られた。 あの彼女らの母親もこの前に彼女(次女)を頼って渡米して来て一緒に暮らした後に70年代に死去した。 その他の子供らについてはあまりいい情報はないらしい。 特に家族だけれど、戦犯として裁かれる事もなく。 また知り合う人にわりあい恵まれ。 個人的にあの歴史は常に反省する意識なれど卑屈に落ちいる事なく。 『生きなさい』と励まされたそうだ。
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