レビュー
Schindler's Memo

Schindler's Memo

6 years ago

5.0


content

サラの鍵

映画 ・ 2010

平均 3.7

完成度が高い映画だと思う。 全体を覆う高度の緊張感、ストレートなメッセージ、歴史の深淵部を描いた志の高さ、そして何より「映画」としてのエンターテインメント性を損なわずに描かれたところに感心する。 エンタメ度を落とすとドキュメンタリー的になり、メッセージ性を落とすと軽薄になり、いずれもつまらない。この絶妙なバランスを保った作品が、古今「名作」となると思う。「アラビアのロレンス」、「ひまわり」、「シンドラーのリスト」・・あげるとキリがない。 主演のスコット・トーマスという人・・・、私はこの人のゾンビみたいなルックス(失礼!)が今一つ嫌いなのだが、涙目の勝気演技というところの演技力と、フランス語と英語を縦横にこなすインテリジェンスが受けているのだと思う。 確かに主演は彼女だが、実質の主人公はサラであることは明白。少女のサラを演じた子役の巧さにはもはや脱帽であり、成長したサラの凛とした美しさには唖然とする。サラという女性は確かに創作なのではあろうが、その生涯を覆った悲しさを思うと強烈に感情移入せざるを得ない。 また、サラを取り巻く人情味あふれる人間たちの心意気が、張り詰めた緊張感に瞬間的な温もりを与えているのも素晴らしい。 2時間を切る尺に、これだけ濃厚にドラマを盛った脚本も上手いと思う。現在と過去をシンクロさせる構成も特筆だが、序盤で「それをしたのはフランス警察なのよ」という台詞一つで全てを理解させ、ラストでの「男泣き」で全てを語るというアクセントも効いている。文句なし。