レビュー
dreamer

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4 years ago

3.0


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テキサス・チェーンソー

映画 ・ 2003

平均 3.2

ワンボックス・カーに乗ったメキシコ帰りの若者たち。 何気なく拾ったヒッチハイカーが、車内でピストル自殺したことから、テキサスの片田舎で足止めをくらった彼らは、保安官と自称する男に痛めつけられ、チェーンソーを持った人皮マスクの殺人鬼に次々と惨殺されていく-------。 この作品「テキサス・チェーンソー」は、1973年にホラー映画の鬼才トビー・フーパー監督が撮った「悪魔のいけにえ」のリメイク作品だ。 "田舎では、あなたの悲鳴は誰にも届かないのだ"----結論から言うと、そういうことになると思う。 これはアメリカの田舎者は恐ろしいというテーマのバリエーションを奏でる映画の一本だ。 あのアメリカという国の、絶望的なまでに広い国土が生み出す恐怖。 誰の目にも届かないところで息づく狂気と、肥大化する底知れぬ闇。 しかし、2000年代初期に、この「悪魔のいけにえ」がリメイクされなければならなかったのか? それは深読みすると、やっぱりテキサスなんて田舎には恐ろしい人が住んでいて、そんな人たちがかつて州知事に選んだ男が、ホワイトハウスに棲んでいたという、恐ろしい時代だったからではないだろうか?。 「バッドボーイズ 2バッド」で思わぬ残虐趣味を披露したマイケル・ベイが製作にまわったこの作品は、実話という触れ込みによる疑似ドキュメンタリータッチのオープニングに引き続き、あたかも再現ドラマであるかのように始まる。 その本編の褪色した色調は、この作品を陰惨・陰鬱な雰囲気に染め上げるのに効果を上げていて、ミュージック・クリップで世に出たマーカス・ニスペルという監督の、劇場作品デビュー作としての絵作りへのこだわりを十分に感じさせる出来栄えになっていると思う。 このような雰囲気を醸し出す作品は、近年ではあまり例がないような気さえしてくる。 少なくとも、この作品の前半には、どこかヤバそうな雰囲気と殺伐とした空気が充満していて、真剣にホラー映画を作るという意味では、かなり成功していると思う。 ただし、後半の展開は、意外にしぶとい女主人公が反撃しながら脱出するという予定調和的なパターン(しかし、ホラー映画の黄金則に反して、ジェシカ・ビールはシャツの下にしっかりと下着を着用している)に収束してしまっており、オリジナルの作品が持っていた独特の、あの強迫観念的な恐ろしさはなくなってしまっている。 そこがこのリメイク作品のキモであるとするならば、これは失敗とまでは言わなくとも、ある程度平均点の中に埋没していく作品だと言わざるを得ない。 もちろん、この作品の決定的にまずいところは、そういう物語展開上のアレンジではなく、誰がどう考えても、チェーンソーを抱えたレザーフェイスより、真正レッドネックのR・リー・アーメイの方が恐ろしい存在に見えるところだ。 いや、もちろん、狂ったアーメイこそこの作品最大の見所でもあって、そこがお楽しみであることは否定しない。 しかし、やはりこの映画のタイトルが、「テキサス電ノコ大虐殺」である以上、レザーフェイスがチェーンソーを唸らせて、延々と追ってくるところが、少し霞んでしまったのではないかと思うのだ。