レビュー
dreamer

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3 years ago

4.0


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空の大怪獸 ラドン

映画 ・ 1956

平均 3.1

東宝三大怪獣の地位にありながら、バイプレイヤーとしての活躍が多いラドン。 この「空の大怪獣ラドン」は、そのラドン唯一の単独主演作だ。 公開は1956年。東宝の怪獣映画第三作目にして、初のカラー映画。 監督は、お馴染み本多猪四郎、特技監督は、もちろん円谷英二、原作は黒沼健という陣容だ。 初期の東宝特撮映画は、原作者に香山滋や中村真一郎など一流の作家を起用しているが、この作品でも黒沼健を起用しているのが要注目だ。 今ではほとんど知られていない作家だが、SFやミステリの翻訳・著作で活躍し、とりわけオカルト系については、多くの著作を残している。 この原作が功を奏したのか、この作品のストーリーが、なかなか悪くないのだ。 尺は短いものの、阿蘇山近くの炭坑町で起こったトラブルから殺人事件への発展、意外な犯人、そこから、さらに大きな事件へと連鎖し、やがて、ラドンの出現へと繋がる流れは非常に上手い。 しかも、テンポがいいんですね。 ラドンの出現からラストに至るまで、全く間延びすることなく、ピシッと引き締まっている。 観る者を全く退屈させない鮮やかな作りになっていると思う。 舞台を阿蘇山や北九州に絞ったところ、主人公を記者や科学者、パイロットといった怪獣映画に便利な職業にせず、炭坑で働く若者に設定しているところも、ゴジラとは違ったものを作ろうという、作り手たちの姿勢が伺えていいと思いますね。 そのため若干、スケール感に欠けるきらいはあるが、ストーリーという点では「ゴジラ」と比べても遜色がないくらいだ。 ただ欠点もないではない。映像の繋ぎのぎこちなさ、メッセージ性の弱さ。 ラストのラドンの最期のわかりにくさなど。 とは言え、全体的にはよくできた映画であり、飛行する怪獣をどのように表現するかという円谷英二の挑戦は、やはり見どころ満載だ。 個人的には歴代怪獣映画の中でも特に好きな作品ですね。