レビュー
てる

てる

3 years ago

3.5


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サイダーハウス・ルール

映画 ・ 1999

平均 3.4

重いストーリーでしたね。そして、物凄くリアルなストーリーでした。 1940年代の話しなので、少しだけ時代を遡る。そうすることで、理不尽な行為に説得力を増す。今もなお、リンゴ摘みの流れの労働者がいるのかはわからないが、差別が残っているこの時代には彼らのような黒人労働者が当たり前のように存在していたのだろう。その世界観が非常にリアルに描かれていた。 堕胎禁止法そんな法律がアメリカにはあったんだね。望まれない妊娠ってのがあって、それを苦に命を擲ってしまう女性が後を絶たないということを政府はまだ考えられていなかったんだね。自由の国と呼ばれているアメリカはこういう暗い歴史を乗りきって今に至るんだねぇ。 堕胎禁止法。たぶん人口を増やすための制度だったんだろうけど、それは国民の意思を無視した非人道的な法律だ。 ラーチ医師は悩める女性を守るために中絶手術を行っていた。ホーマーはそのことに抵抗を覚えていたため、ラーチ医師の後継者になることを嫌がり施設を離れた。 ホーマーは施設の中しか知らない世間知らずであり、外界の仕事や出会ったことのない人間と触れることで自らの使命を知る。 リンゴ農園で働き始めたことによって、ホーマーは自分が特別な能力を持っていることを知る。と言ってもそれは特殊能力とかではなく、一般教養としての読み書きが出来るということだったり、学があるということだ。差別があるこの時代では、読み書きは誰もが出来るような当たり前のことではない。読み書きが出来るだけで仕事の選択肢が広がるのだ。様々な選択肢の中でリンゴを摘む仕事を選んだホーマーと、この仕事しかない彼らとは大きな違いがある。 ましてや医師としても有能であるし、さらに中絶手術が出来るというのは、その当時では数少ない貴重なスキルの持ち主である。 リンゴ農園で働く楽しさは知ったものの、ローズの件で彼にしか出来ない仕事があることを彼は知った。 この作品はとてもとてもビターな青春映画なのだ。若いトビー・マグワイアとシャーリーズ・セロンはそりゃもうキラキラしているが、今でいうところのキラキラ青春ムービーとはえらい違いだ。 ただ、進路を迷っている青年たちに観てほしい作品であるのは間違い。 色々寄り道して、笑って泣いて悩んで自分の行きたい進路を定める。それが人生なんだろうなぁって思えるような作品でした。 それにしても配役がすごい良かった。特にトビー・マグワイアだ。『スパイダーマン』といい、冴えない悩める青年を演じさせたら彼の右に出るものはいない。まさに適役だった。トビー・マグワイアにはスパイダーマン以外も代表作があるんだと思わされました。 大人になった彼が今後どのような役を演じていくのか非常に気になる。素晴らしい役者だったんだねぇ。見直しました。