レビュー
レビュー
star4.0
岩井俊二による参加型インターネット小説を原作に、本人が監督・脚本を務めて映画化された2001年の日本映画 ・ ある地方都市、中学2年生の雄一(市原隼人)は、かつての親友だった星野(忍成修吾)やその仲間たちからいじめを受けるようになる。そんな彼の唯一の救いはカリスマ的女性シンガー、リリイ・シュシュの歌だけであり、そのファンサイトを運営する彼は、いつしかネット上でひとりの人物と心を通わしていくが…。 ・ 岩井俊二監督に衝撃を受けたのは、1996年の「スワロウテイル」だった。YEN TOWN BANDという架空のバンドが登場し、音楽を担当したのは小林武史だった。この作品でもリリイ・シュシュという架空の歌手がキーパーソンで、小林武史が音楽を担当しているという同じ形式だったから心を惹かれた。 ・ 現実とインターネットをリンクさせた構成が印象的で、うまく機能していたと思う。受け入れられない現実と、チャットでのファン同士のやりとりを交互に見せることで、より現実の厳しさが伝わってきた。 ・ ある時から一変してしまった中学生活。心の支えはリリイ・シュシュだけ。追い詰められていく主人公の姿を描いた作品は衝撃的。いじめ、援助交際など、現代の少年問題をリアルに描いた内容には言葉も出ない。弱いから暴力をふるい、弱いから抵抗しない少年少女たち。彼らに救いはあるのだろうか? ・ アメリカの危うい10代を描いたガス・ヴァン・サントの「エレファント」と似たような印象を受けた。違う国で、問題にも違いはあるものの、精神的な揺れ方はどこの国の10代も同じなのかもしれない。 ・ リリイ・シュシュのファンであり、孤独な主人公の唯一を演じた市原隼人。映画初出演にして初主演という初々しさ。最近では熱血なイメージがあるけど、寡黙ないじめられっ子っていうのはもう観れないだろうね。それにしても若い。 ・ 精神的には一番変化が激しい星野を演じた忍成修吾。19歳で中学生を演じてたのに違和感なかった。同情できるキャラでもないけど、演技は一番光ってた。 ・ 援助交際をする津田を演じた蒼井優。映画初出演の彼女はこんな役をしていた。今じゃこんな役のオファー来ないだろうから、こんな蒼井優もレアだね。この映画がデビューの俳優がやたらと多いのがすごい。 ・ 脇役で大沢たかお、稲森いずみ、市川実和子、杉本哲太、田中要次などが出てくるのは豪華で楽しい。 ・ 作品のキーパーソンであるリリイ・シュシュとして歌を唄うのは歌手のSalyu。作品内のPVで少し登場している。作品内の音楽は実際に、Salyuと小林武史、岩井俊二のユニット、Lily Chou-Chouの楽曲としてリリースされた。 ・ インターネットや映画、音楽など、媒体の垣根を超えて、ひとつの作品にしようとする、岩井俊二監督の飽くなき探求心には、いつも驚かされる。「スワロウテイル」が好きな人はこの作品を、この作品が好きな人は「スワロウテイル」を観てもらいたい。ついでに「エレファント」も観たら完璧かな。
70