レビュー
dreamer

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3 years ago

4.0


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アメリカ,家族のいる風景

映画 ・ 2005

平均 3.4

この映画「アメリカ、家族のいる風景」は、ヴィム・ヴェンダース監督が、「パリ、テキサス」以来、20年ぶりにサム・シェパードの脚本で撮った作品で、米国を拠点にした最後の作品というのが「売り文句」でしたね。 盛りを過ぎた西部劇俳優が、撮影中に突然、現場から失踪し、30年間も連絡をしていなかった母親の元を訪れます。 そこで聞かされたのは、20年も前に、彼の子供を身篭ったといって、訪ねてきた女性のこと。 かつて付き合った女性と、まだ見ぬ子供に会うために、かつて主演作を撮影した地でもあるモンタナに向かいます。 一人の男の栄光と挫折、家族との邂逅を横軸に、西部劇のロケ地やカジノばかりが明るく輝く、寂れた西部の町といった「アメリカの風景」を巡る旅路(ロード・ムービー)。 どことなく、ゆるい構成とリズムで語られる物語は、しかし、ホッとさせられるものがあります。 シネマスコープの画角で切り取られた撮影の見事さに身を委ねる心地良さ。 大都市ばかりではない米国の姿が、画面に焼き付けられています。 30年ぶりの再会となったサム・シェパード演じる主人公と、エバ・マリー・セイント演じる母親のやりとりは、静かながら心打つものがあり、この映画の中で最も好きなパートです。 また、ジェシカ・ラング演じる、かつての恋人との再会のシーン、バーのカウンターに座った彼女の背後から、オーダーする主人公。 どこかで聞き覚えのある「声」に、記憶を呼び戻されるジェシカ・ラングの表情の変化を、画面の右端に捉えたシーンは、本編中で最も冴えた演出で、本当に素晴らしい。