レビュー
【松坂桃李が体当たりならぬ体爆発】 映画が八割型ベッドシーン(体感で)、それも実演ではないかと思える程の露骨さ。松坂桃李の体当たりどころか体爆発な演技とともに、その露骨さがかえって清々しい映画の一本木にもなっている。 ◆ 原作は2001年の直木賞候補となった石田衣良の恋愛小説。2016年に三浦大輔演出、松坂桃李主演で舞台化され、俳優陣が観客の目の前で全裸になる事で話題となった。本作は同コンビでの原作映画化版。 ◆ 日々の生活や女性との関係に退屈する名門大学生森中領(松坂桃李)はある日、現れた静香に会員制ボーイズクラブの入会試験である"情熱の試験"を受ける事に。娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく…。 ◆ まあ全てが“露骨”というキーワードに結びつく。 映画の八割型脱いでるのではと思うほどのベッドシーン、しかも全て実演ではと思うほど演技も演出も画角も露骨。全裸舞台を成し遂げた監督と松坂桃李コンビの真骨頂、ある意味他の映画にない太い一本木があったと思う。松坂桃李の体当たりな演技を超えた、“体爆発”な演技や、出演女優達ほぼほぼの全裸大開放っぷりは、男が観ても女が観ても拍手ものだったと思う。 もう一つ、良くも悪くも露骨だったのは脚本。まあ丁寧な描き方で、都度都度の登場人物の心情をセリフで全て語ってしまう、脚本の露骨さがあったと思う。“僕はそれから、女性達の欲望のジャングルに飛び込むことになった”的なナレーションが入った時には、そこまで露骨に丁寧に説明してしまうのかと、“映画のわびさび”をシャットアウトする、映画の全体のトーンを感じてしまった。 ◆以下少しネタバレ◆ 『愛の渦』や『最低。』、性を露骨に描く邦画はいくつもあるけど、いわゆる“娼夫”、男性側が受け手の映画である事がもちろんこの映画のオリジナリティ。ラストの老女を抱くシーンは、女性の思い出も体も全てを抱く、領が究極の存在になったこの映画ならではの終わり方だったと思う。男性から見ると一見キツく感じがちなシーンだけど、この映画が描きたかった性への強いメッセージ、あれ以上ない描き方だったかもしれない。 難しいテーマなだけに、賛否両論分かれるだろうし、入り込めるのと入り込めないのとで感じる重みが全く違う映画だと思う。
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