レビュー
スタジオポノックの短編レーベル「ポノック短編劇場」の第1弾。「メアリと魔女の花」の米林監督初のオリジナルストーリー「カニーニとカニーノ」、百瀬義行監督の「サムライエッグ」、アニメーターの山下明彦が監督した「透明人間」で構成。ジブリ出身監督3人による上映時間54分のオムニバスアニメ。声の出演には、木村文乃、尾野真千子、オダギリジョーなど。 ◆感想 それぞれ際立つオリジナリティ。「カニーニとカニーノ」は、CG映像が見事。川の流れの美しさや、カニーニ達が対峙する巨大魚の迫力が特に際立っていたと思う。水の流れに加えて、音の効果も絶大で、水中の穏やかさや時に激しい水流だったり、陸に上がった時の雨が降り注ぐ音など、まさに両生類のアニメならではな“常に水と共生する感覚”が終始味わえる。 「サムライエッグ」は、まず尾野真千子が適役。穏やかなタッチの画に、まくしたてるような彼女の関西弁が逆にマッチして聞きやすかった。卵を摂取して発症する主人公の描写がこのタッチならではの錯乱っぷりで、没入感があったと思う。反面もう少し、主人公が卵を克服したい動機づけが欲しかったかも。 「透明人間」は、発想が面白い。透明であることで、メガネを通した主人公の目線の画作りが出来るので、至る所にその描写もあり、目線が独特だった。 それぞれもちろん個性だらけの作品なのは良かったのだけど、伝わってくるメッセージがどれももう一声。。短編映画なのでその個性とか技術面に注力してしまう気持ちもわかるのだけど、逆にメッセージに徹する骨太な一本が欲しかった。
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