
dreamer
3 years ago

U・ボート
平均 3.6
1980年代に入って、当時の西ドイツ映画が高揚し始めた時代に公開されたのが、ヴォルフガング・ペーターゼン監督の「U・ボート」だ。 この映画は、第二次世界大戦中、大西洋海域で連合国軍の輸送船団を苦しめ、"海の狼"と呼ばれて恐れられた、ナチス・ドイツの誇る潜水艦Uボートの内部が、主要な舞台になっている。 外から見れば、"海の狼"としてカッコ良い存在だったかも知れないが、そこに乗り組んだ人たちにとっては、どんな体験だったのか。 それまで主として、連合国軍側からばかり見られてきた第二次世界大戦だが、西ドイツ映画の勃興によって、ドイツ軍側からの描写が見られるようになった事が、非常に興味深い。 これは大戦末期に、実際にUボートに乗り組んだ、従軍記者のブッフハイムの原作の映画化作品で、閉鎖的な船内での乗組員たちの苛立ち、そして敵艦を発見して戦闘を開始し、敵の駆逐艦の爆弾で、激しい衝撃を受けるあたりは、物凄くリアルな恐怖感が漂う。 海水が至る所から侵入し、負傷した男たちの血が流れる。 修復作業の結果、漏水は止まり、U96は軋みながら浮上する。 死の淵から蘇ったのだ。 乗組員たちは、やっとラ・ロシェルの港に上陸する。 だが、安心するのも束の間、港の上空には連合国軍の爆撃機の大編隊が襲い、乗組員たちは次々と倒れていく。 このラストの空襲シーンの衝撃度は物凄く、ペーターゼン監督の馬力に圧倒される。 そして、それまでは単に極悪非道の悪玉として扱われてきた、ナチスの兵士たちが、彼らも実は人間的な弱さと闘いながら、任務を遂行せざるを得なかった男たちであり、それも爆撃で倒れていってしまうところに、戦争というものの儚さ、空しさ、恐ろしさを感じさせてくれたのだ。