
dreamer
4 years ago

その土曜日、7時58分
平均 3.3
「その土曜日、7時58分」は、名匠シドニー・ルメット監督が84歳の時に撮った作品。 この映画は、ある家族の崩壊を描くというテーマはあるものの、ミステリ映画としても堂々たる仕上がりの作品だ。 ニューヨーク郊外の小さな宝石店を狙った強盗は、たまたま居合わせた女店主が銃で反撃したために、無惨な失敗に終わった。 物語は、この一見ありふれた犯罪をめぐって、何度も視点を変えながらリワインドされ、そのたびに事件の背景、さらに事件が巻き起こした波紋を、克明に浮かび上がらせていく。 銀行強盗の生き残りであるイーサン・ホークをめぐって、やがて、その兄の演技派フィリップ・シーモア・ホフマンや父親の名優アルバート・フィニーらとの家族関係や、事件の全体像が露わになっていく、ジグソーパズルにも似た手法は、まさにミステリ的だ。 さりげない伏線が、次々に浮かび上がってくる終盤は、とりわけミステリ映画の快感をこれでもか、これで もかと味合わせてくれる。 ケリー・マスターソンの精緻なオリジナル脚本も見事だが、老いを全く感じさせないシドニー・ルメット監督の演出が、なんとも冴えている。