レビュー
レビュー
star3.0
塚本晋也の映画は、評論家の評価が非常に高い。おそらくこの映画も2020年キネマ旬報ベストテンには顔を出すんじゃないかと思う。 というのは、つまり彼の映画はある意味で解り易いからだ。本作も、本質は「野火」を経た反戦映画であり、テーマは「非暴力を貫くことの難しさ」という、もはやガンジーなどを起点とし冷戦、全共闘といった、ある意味古びた思想史をストレートにカメラへ投影させた感がある。 でもどうなのか、観ていて面白くないのも確かだ。 理由は簡単で、エンターテインメント性に恐ろしく欠けているからだ。中心の二人の武士(浪人)は結局大義を全うしないし、時代劇におけるチャンバラも美しくない、というより殺陣として全く切れていない。主役二人の恋愛モノとしても、極めて厭な結末というか、結局は杢之進の自慰でしか描写がない。 また、蒼井優が作品によって変幻自在であるのに対して、池松の演技はここ数作全く同様で倦怠感を持ってしまうし、監督自身の「剣豪」に至ってはオーラ的に不十分だ。 蒼井優の変なエロチシズムだけが妙に光っているが、「映画」としては面白さに欠けると言わざるを得ないと思う。残念だが。
20