レビュー
dreamer

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3 years ago

4.0


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断崖(1941)

映画 ・ 1941

平均 3.2

アルフレッド・ヒッチコック監督の「断崖」の原題は、Suspicion(疑惑)。 疑惑を抱くのは、良家の令嬢リナ(ジョーン・フォンテーン)。 そして疑いをかけられるのは、二枚目の遊び人ジョニー(ケイリー・グラント)。 ジョニーとリナは、列車の中で偶然に知り合って夫婦になった。 ところがリナは、結婚前からジョニーに関する悪い噂を、いろいろと耳にしている。 厳格な軍人の父親も、その結婚にはいい顔をしない。 つまり彼女の心には、早い段階からマイナス要因がいくつか刷り込まれているといってよい。 その疑惑が頂点に達するのが、海辺の断崖を眼にした時だ。 彼はいったい、何を企んでいるのか?-------。 イギリス出身のアルフレッド・ヒッチコック監督は、イギリスを舞台にしたハリウッド映画を2本撮っている。 1本目が「レベッカ」で、この「断崖」は2本目にあたる。 ただしこの映画には、仰天するような発想が少ない。セット撮影もかなり安直といってよい。 映画的冒険に関しては、彼自身も不満を抱いていたと言われている。 とはいえ、「悪だくみの巨匠」が、手をこまねいているわけはない。 凡才が撮れば、単調になりそうなこの話に、ヒッチコック監督はあの手この手の揺さぶりをかける。 わけても光るのは、ケイリー・グラントの演技だ。 ハンサムで明るく、それでいながら狡猾で冷酷な匂いを漂わせる男。 そんなジョニーが、ミルクの入ったコップを持って、階段を昇る場面はあまりにも有名だ。 ヒッチコック監督は、毒のようなミルクの白さを出すため、コップの中に豆電球を仕込んだというのだ。 とにかくこの映画は、観る者を揺さぶる、あの手この手のテクニックを駆使した、ヒッチコック監督らしい作品だと思う。