
ジュネ
10 years ago

声をかくす人
平均 3.1
アメリカ初の女性死刑囚となったメアリー・サラット の半生を描いた、ロバート・レッドフォード監督作。さすがと言うべきか非常に手堅い作りになっており、どこまでも容赦ない現実を全く手を抜くことなく、ひたすら生真面目に描ききる本作は、見終わったあとに大きなため息が出るほどです。 主人公のフレッドは弁護士である前に一人の兵士であり、リンカーン大統領を殺害した犯人の一味と目されるメアリーを弁護することに嫌悪感を覚えます。彼女は実行犯の息子をかばっているだけなのですが、犯人を抹殺し事態の収拾を図る政府は不正や捏造も厭いません。そこに、フレッドは、自分が命を賭して守ったアメリカの醜い姿を見ることになるのです。 フレッドは実行犯の息子と引き換えにメアリーを助けることが法に支える自分の使命だと信じますが、メアリーは命を賭けて息子を守ろうとします。なぜならそれが『母親』としての信念であり彼女のかざす正義だからです。法廷で両者の意地がぶつかりあった結果、どうなるのか。 この映画で描かれていることが140年以上経過した現代で再び起こるとは、さしものリンカーン本人も想像できなかったでしょう。とても皮肉な気持ちにさせられる1本です。