レビュー
cocoa

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4 years ago

3.5


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GAGARINE ガガーリン

映画 ・ 2020

平均 3.4

パリ郊外にある巨大な公営団地、その名も「ガガーリン団地」。 1960年代初めに作られ、名前の由来はロシアの宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンから。 (実際にガガーリン氏が訪れた古い映像もあり) 築年数が60年を越え、老朽化する団地。 さらに2024年のパリオリンピックに合わせ、取り壊しが決まる。 ガガーリン団地に暮らす16歳の青年ユーリ(アルセニ・バティリ)。 おそらくアフリカ系の移民の子ども。 母親が恋人の所に行き、ユーリは一人で連絡を待っている。 どこにも行き場がないユーリ、宇宙飛行士になる夢はあるが現実はやりきれない。 そんなユーリが巨大団地の最後の住人になる……ちょっとファンタジーを感じる好きな作品でした。 フランスの街の郊外にある団地の映画はたくさんある。 「アスファルト」や「バッグ・ノール」などetc。 団地で暮らす住民の貧困や移民問題、さらに犯罪の絶えない地域としての印象が強い。 今回のガガーリン団地は様々な住民が助け合って暮らしている雰囲気。 皆既日食を住民がみんなで楽しむシーンは良かった。 ユーリは親友フサームと一緒に団地内の電灯やエレベーターを直そうとする。 その時に知り合ったロマ族の女の子ディアナ。 (演じるのは『ハピチャ 未来へのランウェイ』のリナ・クードリ) 3人で団地の屋上で夢を語るシーンも好き。 多くの住民が次々に退去する中、ユーリを迎えにくるはずの母親にまた裏切られる。 それからユーリは一人で無人の団地を改装し、宇宙船のように変えて行く。 船内活動の映像を見ながら設計図を書くユーリ。 電気や水を作り、植物や野菜を育てるユーリ。 『オデッセイ』のマット・デイモンも顔負けでは。 いよいよ団地は発破による解体の時、ユーリが同時に制御盤を押すと建物自体から光が放たれる。 それはディアナに教わったモールス信号で「SOS」だった。 ユーリが無重力でさまよい、宇宙に飛び立つシーンはまさにファンタジーだが、かつての住人やディアナによって助け出される。 ユーリのこれからはわからない。 でも暮らしてきたガガーリン団地の消滅はユーリの再出発を意味するもの。 住むところを定められない運命のロマ族のディアナの存在がそれを強く意味付けていると思った。 「携帯?持たない主義なの」と言っていたディアナの強い心。 生きていくのはしんどいと知っている彼らは生きていけると思った。 ポスター写真も好き。 掴みどころのないストーリーも好きでした。