
てる

ジョーンの秘密
平均 3.3
面白かったけどなぁ。 評価はかなり低いらしい。ジュディ・デンチを上手く使えてないとか、原作は面白かったのに退屈な作品になってしまっているとの批評があるらしい。確かに言われてみればそうかもしれない。ジュディ・デンチが主役ではあるけど、彼女のシーンは少ない。家の中と外と尋問室くらいなものか。ロケ地が少なくして、体に気を使ったのかしら。 激動の時代に歴史をほんの少し動かしたかもしれない女性。バーバスパイと言われ、一時は時の人となった人物の話しだ。彼女の人生は波乱万丈だ。 技術者として有能であったのと、女性であったのが大きい。当時のイギリスでは女性は軽視されていたため、捜査の網を掻い潜ることが出来てしまった。イギリス警察の捜査の杜撰さを責めたい部分はあるが、それが事件の発端だ。彼女は核戦争を避けるために行動を起こした。日本に2発もの原爆が落とされ、自分が作り出した兵器の威力に恐れおののいた。核戦争が起きないように、アメリカとソ連にそれぞれ兵器を持たせ、冷戦に持ち込んだ。彼女の取った行動は確かにスパイ行為であった。それは核兵器の技術幇助に他ならない。イギリス国としては彼女を犯罪者として裁かなければならない。 ただ、その行為が結果的に核戦争を避けたのかもしれない。もしかしたら、ソ連が核兵器開発に手間取っている間に、アメリカがソ連を第二の被害国にしていたのかもしれない。ソ連があの時代に核開発をしていたのは間違いないし、彼女のレポートが技術幇助になったのかは甚だ疑問ではある。でも、もしかしたら、核戦争を止めたのは彼女だったのかもしれない。 そう考えるとロマンがある。そこを念頭において、物語が進んでいったなら、この作品はとっても面白い作品になったのかもしれない。 非常にドラマチックではある。スパイであり元恋人と妻子ある教授との狭間で揺れ動く想い。歴史を動かしたのは技術者ではなく、男と女の愛憎劇だったということだろうか。 それにしてもこの女の人って男運ないよなぁ。元恋人は情報欲しさに近づいて来てたわけだもんね。今の彼氏が、妻子持ちの中年ではなく、ハンサムで独り身で頭のきれる若い男だったなら、元カレなんかさっさと忘れていたことだろう。そうすれば、彼氏は年をとってから何十年も前の行為に言い訳することもなかった。 彼女は信念を持った上でスパイ行為に及んだが、それは端から見たら詭弁だ。もしかしたら、ソ連がイギリスに核弾頭を撃ち込むなんてことが起きる未来があったかもしれない。彼女は自分こそが世界を救ったかのように演説しているが、それは結果でしかない。アメリカとソ連の核兵器を撃ち合う未来があったかもしれない。彼女が作った核兵器がどこかの国に使われていたなら、彼女は自殺でもしたのだろうか。 偉そうに語ったが、結果的に彼女が選んだ未来は、彼女が描く未来通りになったわけだ。人生の起点なんてのはどこにあるかなんてわからないね。歴史なんてのは、知らないだけで、案外こうやって男と女が私的な理由で動かした産物なのかもしれないね。