レビュー
cocoa

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2 years ago

4.0


ブラックベリー

映画 ・ 2023

平均 3.6

原題も「BlackBerry」。 ご存知、カナダで作られたスマートフォンの元祖と言われる端末です。 当時、北米のシェアは45%でトップ。 両手で掴んで親指を駆使してキーボードを操るシーンをいろんな媒体で見かけたな~。 ガラケーやスマホのパンフレットでは必ず最後の方に掲載されていた記憶…。 1996年、舞台はカナダ、オンタリオ州のウォータールー。 技術屋のマイクと親友のダグは「リサーチ・イン・モーション社」…「RIM」を設立。 技術開発の力はあるが資金繰りに苦しんでいた。 そこへ目をつけたのが後に共同CEOとなる企業家ジム・バルシリー。 マイクとダグの開発した、電話にコンピューターを入れた一体型モバイル…後の「ブラックベリー」を世界に売り込む。 一時は独占状態だった「ブラックベリー」だが、後にアップル社の「iPhone」登場で一気に衰退し、シェアを失う。 さらにジムの強引なやり方に「証券取引委員会」からの査察が入る。 そんな「ブラックベリー」の栄光と衰退を描いたストーリーです。 いや~、なかなか面白かったです。 「ブラックベリー」は完全に消えてしまったけど、そこまでの人間模様が時にコミカルに、そしてスピード感もあって見応えがありました。 技術屋のマイクは中国製のノイズが許せない。 冒頭とラストに中国製の製品のノイズを一つ一つ直して行く姿が物悲しかった。 確かに製品の売り込みにはジムのような強気で強引な行動力は必要だとは思う。 でもマイクの拘りに「完璧は善の敵 」とジムは言い、「妥協こそ人類の敵 」とマイクが言い返す。 ノイズにこだわるマイクは決して譲れなかったけど、その後、ずっと反対していた中国生産を受け入れる苦しみのシーンは何とも言えなかった。 だから余計にラストの検品のシーンが辛い。 さて、ダグを演じたマット・ジョンソン氏が監督だとは。 バンダナをいつも巻いてラフなスタイルで飄々としていたダグ。 社内では「ムービーナイト」をもうけ社員全員で映画を楽しむのが恒例行事。 こんな社風も良いとは思うけど、スマホ業界に参入した後はマイクは経営にもシビアになる。 それもそのはず、ジムの資金の不透明さや、他の所からCOOまでやってきて「ブラックベリー社」を統率しだす。 それからジム・バルシリー。 何だか自分の欲求のまま強引な取引をしていた。 いつもイライラしてせっかちで、風刺画では「バカシリー!」と言われる。 北米アイスホッケーリーグの買収はまったく自分の欲だけど、理事会では「品位と誠実さがない!」と言われる。 ジム役のグレン・ハワートン氏は髪の毛を剃り、その姿は熱演でした。 嫌なやつだったけど…。 確かにiPhoneの登場で当時のスティーブ・ジョブズ氏の有名なプレゼンテーションは圧倒された。 あの革新性はもう敵わないと思った。 それでも「ブラックベリー」が残した端末はあの頃は夢を与えたと思いたい。 それからエンディングの曲がザ・キンクスの「ウォータールー・サンセット♪」なのは笑えた。 そちらはイギリスの街ウォータールーの落日…夕陽の美しさを歌った大好きな曲です。 今作ではカナダの街ウォータールーが舞台だから「ウォータールーの落日」をブラックベリーの衰退と掛けたのかな。 どちらにしてもよい曲です。