
てっぺい

1917 命をかけた伝令
平均 3.8
2020年02月14日に見ました。
【命をかけて見る映画】 全編ワンカットの圧倒的なオリジナリティ。その事で、戦場を行く、死と隣り合わせの臨場感が突出している。まさに自分もその戦地を一緒に進むような感覚で、命をかけた伝令を、命をかけて見る、そんな没入感のある映画。 ◆概要 第92回アカデミー賞作品賞、監督賞等10部門ノミネート、同撮影賞、録音賞、視覚効果賞受賞作品。監督は「007 スペクター」のサム・メンデス。出演は『はじまりへの旅』のジョージ・マッケイ、「ゲーム・オブ・スローンズ」のディーン=チャールズ・チャップマン、ベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングら。撮影は「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組んだロジャー・ディーキンス。 ◆ストーリー 1917年4月、ドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続くフランス西部戦線。若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、最前線の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。最前線の仲間1600人の命を救うべく、奔走する姿を全編ワンカット撮影で描く。 ◆感想 全編ワンカットの圧倒的なオリジナリティ。想像を超えてくる独特の没入感だし、まさに現場に自分もいるような感覚に陥る。常に死と隣り合わせの戦場という設定が、このワンカット撮影ででよりリアルに感じる。撮影手法も気になりつつ、この映画でしか味わえない世界観を楽しめる。 ◆没入感 全編ワンカットで、映画として何が変わるのか?見終わって言えるのは、自分もそこにいるような独特の没入感だと思う。登場人物と全く同じ時間軸に入り込むわけで、一切“翌朝”なり“○年後”なり時間が飛ばない。まさに2時間、彼らと行動を共に、あの戦場を行く感覚。さらに言えば、編集で映像が切り替わるような事がないのも同様の効果。俯瞰の画や寄りの画、ドローンのように見たこともないような空中の画になることもない。逆に言えば、常に人間の位置の目線で、スコとブレイクの二人を追い、時に前方に立つ。まさに自分がそこにいる感覚を、この時間軸と映像の“人目線”で実現している。全編ワンカットだからこそ作りあげられる、まさに唯一無二の没入感だった。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆戦場 洞窟で仕掛けられていた爆弾、どこを行っても遭遇する無数の死体、居残ったドイツ兵からの襲撃。どこからくるのか分からない、常に死と隣り合わせの戦場が実に生々しく描かれていたと思う。予告で何度も見た、最前線の戦場を直角に走り抜けていくスコと、その前後を幾人もの兵士が駆け抜け砲弾と交錯していく映像は圧巻。友を失い、命を懸けて届けた攻撃中止の伝令も、“明日には違う命令が届く”と言い放たれてしまう、戦場のリアルな儚さがあった。ただ個人的には、何気ないシーンだけど、スコが手をついた所がたまたまネズミが漁る人の死体の内臓で、顔を曇らせた所が、きっと戦場ではこんな事が日常茶飯事なんだろうと思える、ある意味身近に感じるシーンだった。 ◆入念さ テレビの経験上感じるのは、全編ワンカットに必要な入念さ。撮影して編集する一般的な映画なら、後日余計なシーンはカットしたり、時には映像の順番を変えたり、事後の労力がいるもの。それが出来ないこの映画では、撮影に入る前に余程入念な準備が必要だったはず。このタイミングでカメラが来るから、その時にこんな動きをしてくれ、そんな支持を数人ならまだしも何百人ものキャストに伝えるという労力。スコとブレイクを追うために、この角度からこう撮ろうと練る入念さ。死体の浮く小さな池の縁を歩く二人を横から撮るために、水面スレスレから撮っているシーンが何気に印象的だった。とにかく計り知れない、やり直しのきかない撮影前の入念さが、2時間通してムンムン伝わってきた。下記トリビアで、長回しが実は最長で9分ほどだという事実(?)もあるのだけど、だとしてもその労力や本気度は素晴らしいと思う。 ◆ こんな映画見たことない、心からそう言える映画だった。また一つ、映画の奥深さが広がった体験でした。 ◆トリビア 実は長回しの撮影は最長で9分ほど(https://www.cinematoday.jp/news/N0114131)。