レビュー
ジュール・ヴェルヌの原作を、マイケル・アンダーソン監督が映画化した1956年のアメリカ映画 ・ 時は1872年、まだ飛行機も出現していない時代。イギリスはロンドンの社交クラブで、英国紳士フォッグ氏はひょんなことから“80日間あれば世界一周できる”という賭けにのり、なんと2万ポンドという大金を賭け、自ら実証のための大冒険に出ることになる…。 ・ “SFの父”とも呼ばれるジュール・ヴェルヌの冒険小説を原作にしているんだけど、原作の面白さはもちろん、最新の技術や豪華なカメオ出演も楽しめる作品だ。第29回アカデミー賞で、作品賞をはじめ5部門を受賞した50年代を代表する傑作だ。 ・ 大プロデューサーだったマイケル・トッドが、自ら開発した「トッドAO方式」と言われるワイドスクリーンで撮影された映像は、それまでの映画にはなかった新しい世界観を作品にもたらしている。合成もより自然になり、世界各国を冒険する旅を純粋に楽しむことができる。 ・ 特に盛り上がるシーンがあるかと言われたら、あまり思い付かないんだけど、とにかく終始、楽しい気分にしてくれる。最近のVFXを駆使した映画にはない、映画の楽しさを教えてくれる作品だと思う。日本も登場するけど、ヨコハマなのに平安神宮が登場している。富士山はもちろん登場するけど、ちょっと笑っちゃいます。 ・ 主人公のフォッグを演じたデヴィッド・ニーヴン。ジェームズ・ボンドを演じたこともある絵に描いたような英国紳士タイプの俳優だ。そのフォッグの執事パスパルトゥーを演じたカンティンフラス。あの喜劇王チャップリンが「世界で最も偉大なコメディアン」と評しただけあって、コミカルな演技は素晴らしいものがある。 ・ プロデューサーのマイケル・トッドの戦略により、数多くの大スターが脇役で登場しているのも見所だ。フランク・シナトラまで登場する。当時のスターが分からない人でも、スターはオーラが違うので、登場したらスターなのがすぐ分かるから楽しめるはず。今では当たり前となったカメオ出演は、この映画がきっかけで生まれた言葉だ。 ・ 最新の映画には最新の映画の良さがある。この映画だって、50年代では最新の技術を駆使した最新の映画だ。それでも今からしたら、化石のような技術だ。だけど、なんの遜色もない面白さがある。ニヤニヤしながら映画を心から楽しむ。これって素敵なことだ。この映画にはそれがある。映画を楽しんでもらいたい。
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