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海底軍艦
平均 3.3
2021年06月23日に見ました。
本多猪四郎が監督を務めた、1963年公開のSFドラマ。 押川春浪の同名小説を原作とする本作では、圧倒的な科学力で人類に宣戦布告したムウ帝国と、秘密裏に開発された「海底軍艦・轟天号」に最後の望みをかける人類との攻防が描かれます。まずこのポスターを見てくださいよ。艦首にドリルがくっ付いたバカデカい戦艦が空を飛んだビジュアル、そして中央には堂々と「海底軍艦」の文字。このインパクト勝ちという面も大きいのではないでしょうかね。脚本の関沢新一も「原作にある”ロマン”を重要視した」とコメントしていますし、これだけでも一定の面白さは確保されているとは言えます。そしてドラマパートもかなり見応えのある内容となっています。轟天号を秘密裏に開発していたのは戦死したと思われていた旧日本海軍の神宮寺大佐。彼は未だ「大日本帝国海軍の再興」に意欲を燃やし続ける男で、物語は彼の心境の変化に重ね合わせて進行していきます。更にヒロインは彼の娘・神宮司真琴で、本作では父娘の関係性にもフォーカスが当てられています。これらの点から神宮寺大佐は本作の”真の主人公”とも言えますし、正直彼のドラマはもっともっと掘り下げ甲斐があると思うのですが、結果的には全体が中途半端に終わっています。あれ程片意地を張り続けていた神宮寺大佐が娘の悲しむ姿に絆されてあっさり態度を変えてしまうのにはガッカリしましたし、実際の主人公である高島忠夫と藤木悠の『キングコング対ゴジラ』コンビの主人公たる必然性の無さにも若干引っ掛かりました。もちろん本多作品における”三者の関係”には則っていますが、本作で彼らが登場するのは”事件の第一発見者”である事、そして片方が”神宮司真琴の彼氏”という薄い理由な為、特に主人公らしい活躍もしていません。個人的にはやはり、時代に取り残された男・神宮寺大佐の悲哀と成長の物語をもっと見てみたかったですね。 今回唯一の登場怪獣である「怪竜 マンダ」はシンプルなデザインでカッコいいのですが、コイツも終始無双する轟天号を前にアッサリとやられてしまいました。あと何より本作のラストですよ。「身も蓋もない”戦争の有り様”」という意味では順当な結末とは言えますが、いくらなんでも後味が良くない… 「仕方のない事なのだ」と言わんばかりにどいつもこいつも感慨深い顔しながらあの悲惨な光景をただただ眺めているだけというのはどうもねぇ。例えば、結末となる事態そのものは『ウルトラセブン』の第6話「ダーク・ゾーン」とも非常に似ていますが、あちらは最後まで互いを尊重し友好的な対応を取り続けていたからこそ、やむを得ず迎えてしまうあの結末にはショックや哀感も大きかったですが、今回の”それ”は終始敵国として憎み合っていたムウ帝国を轟天号でボッコボコにした挙句トドメの一発としてかましたものである為、どうしてもモヤモヤが残りました。ただこれらも全て含めて「戦争の愚かさ」を皮肉に体現しているラストとは言えますし、これに関しては何度も観直すことで受け取り方もまた変わってくると思います。原作小説とも見比べてみたい! 平田昭彦って何でもやるんだなぁ。