レビュー
dreamer

dreamer

4 years ago

3.5


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ラスト・ターゲット

映画 ・ 2010

平均 2.9

どうってことはないのに繰り返し観てしまうという映画があります。 「ジャッカルの日」「パララックス・ビュー」、何度繰り返し観たことだろう。 ジョージ・クルーニーが、一匹狼の殺し屋を演じたこの「ラスト・ターゲット」も、続けて2回観てしまいました。 この殺し屋は、鉄砲鍛冶も仕事にしていて、銃の改造に余念がないんですね。 出会った娼婦のヴィオランテ・プラシドの純情にほだされ、殺し屋稼業はこれでやめようと決意を固めるのだが、もちろんそうはいかない。 でも、このあらすじだけでは観ようという気にはならないでしょう。 だって、これだけなら難度も繰り返した使い古し、リサイクルの固まりみたいな筋書きです。 でも、この映画は、とても"静か"なんですね。 クールな殺し屋と言えば、ジャン・ピエール・メルヴィル監督、アラン・ドロン主演の「サムライ」が思い出されるところですが、仕事が仕事なので、主人公は寡黙なんですね。 この「ラスト・ターゲット」も、風光明媚なイタリアの風景や主人公のクローズアップばかりで、電話をかけても、「着いた」「どこだ」「ローマ」と、たったこれだけ。 コミュニケーション障害じゃないかと疑いたくなるほど無口です。 加えて、映像も"静か"なんですね。この作品のアントン・コービン監督は、肖像写真で評価された人だけあって、俳優の表情を的確に捉えているんですね。 その緻密に創り込まれた画面が、まるで氷河の動きでも見つめるような苛立たしい速度で、ゆっくりと動くばかりなんですね。 とにかく、静かでゆっくりな映画です。 この静けさのために、引き込まれてしまいます。 性急なカット割りと阿鼻叫喚で満たされた、忙しくて喧しい映画ばかりが多い昨今、言葉や音声に頼らずに、じっくりと手をかけた映像を観ると、どこかホッとするんですね。 考えてみれば、「ジャッカルの日」も「パララックス・ビュー」も静かでゆったりだった。 沈黙は金、静かなだけで映画が上出来に見えてくるんですね。