レビュー
cocoa

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4 years ago

3.5


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沈黙のレジスタンス ~ユダヤ孤児を救った芸術家~

映画 ・ 2020

平均 3.5

原題は「Resistance」。 「抵抗」や「反抗」の意味。 フランスの有名なパントマイマー、マルセル・マルソーが戦時中に親を亡くしたユダヤ人孤児を多く救った実話ベースのお話。 マルセル・マルソーを演じるのはユダヤ系のジェシー・アイゼンバーグ。 ジョナタン・ヤクボウィッツ監督はホロコーストを生き延びた親族を持ち、今作に懸ける気持ちも特別だったとか。 (ちなみにこの監督のボクシング映画「ハンズ・オブ・ゴッド」は大好きです) 物語は1938年11月のナチ政権下のドイツ、ミュンヘン。 多くのユダヤ人が殺され孤児となった子どもたちが行き場を失う。 同じ頃フランスのストラスブールのキャバレーではパントマイムを披露するマルセルの姿。 マルセルは父親の経営する精肉店で昼間は働き、夜はパントマイムの仕事をしているのです。 ある日、兄や従兄弟に誘われフランスに逃げてきたユダヤ人の孤児を世話する事に。 表情乏しい孤児たちを和ますマルセルのパントマイム。 しかし、ドイツ軍はその後フランス全土を掌握。 孤児たちの命を救うために険しいアルプスを越えて逃がそうと奮闘する。 最初と最後に「元ナチ党大会会場」で演説をするパットン将軍(エド・ハリス)の姿。 パットンと言ったら連合軍、つまり米軍の有名な将校。 この辺の背景を知っていた方が分かりやすいと思った。 (パットン将軍はその後すぐに事故の後遺症で亡くなります。) リヨンのレジスタンスとして活動するマルセルや仲間たち。 親衛隊中尉バルビーの冷血な行動の中、何とかアルプスを越えようとするシーンはハラハラします。 ナチスから逃げる訓練をしていたから雪の中、森の木々に登って潜む姿は実際に子どもたちに出来たのだろうか。 マルセルが手をヒラヒラ動かして合図を送るシーン、暗闇の森では見えないだろう、と野暮なことをちょっと言いたい。 しかしマルセル・マルソーたちが命を懸けてユダヤ人孤児を守った事実は大きいし、数人の敵(ドイツ兵)を殺すことより、来世に向けてユダヤ人を守る意義を訴えたシーンはとても良かった。 パントマイムの場面は物足りないけど、ジェシー・アイゼンバーグがふと何かを考える表情はいつも好きです。 ナチス政権に協力したフランス、ヴィシー政権の闇も多くの映画にされていますが、とにかくナチスの迫害をしっかり後世に伝えていきたい、そんな意図は充分に伝わりました。