
motoyAlive

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
平均 3.2
貧困、人種差別、環境汚染という社会問題に家族と友情の話を盛り込んだ主人公の青年がかつて住んでいた家を巡るヒューマンドラマ。 《あらすじ》 舞台はサンフランシスコ。ジミーという黒人の青年は住む場所もなく、親友モントの家に居候している。ジミーは元々祖父が建てたヴィクトリアン様式の美しい家に家族と住んでおり、現在は手放してしまったが、今でもその家に愛着を持ち、家主である白人夫婦には無断で家の修繕を行っている。ある日、白人夫婦が遺産相続の問題で自宅を手放し、家が無人になることを知り、そのすきを狙ってジミーは住み着くのであった。 《感想》 “ジェントリフィケーション”という労働者階級の人たちが住んでいる地域が再開発などにより富裕層が移り住み、地価が高騰することによって、元々住んでいた労働者階級の人たちが立ち退かざるを得ない人口移動現象を中心に描いた作品で、特に劇中に説明がある訳でもなく、ここらへんの背景が分からないと内容に入り込みにくいと思うので、予習するのがおすすめ。 作品としては、ストーリーが淡々とし過ぎているのとジミーへの感情移入という部分が難しく感じた。ジェントリフィケーションによって住む場所やルーツを奪われたことは同情できるし、切なさも感じるが、ジミーのやっていることはただの不法占拠で、ラストに明かされる事実も含め、冷めてしまうストーリー展開だった。 貧困の描き方がパラサイトや万引き家族のように直接的ではなく、主人公たちから決して貧困による悲壮感は伝わってこなく、背景に映り込むものから貧困を感じられるという間接的に伝える見せ方は新しかったり、サンフランシスコの街並みや景色といった映像も美しく、印象的なカメラワークも惹きつけられ、芸術性の高いアート映画だとは感じた。