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レビュー
YOU
3 years ago
ザ・ゲスト
映画 · 2014
見ている最中
アダム・ヴィンガードが監督と編集を務めた、2014年公開のアクション・スリラー。 今夏公開の『ゴジラvsコング』が想像を超える異色作だったので、同じアダム・ヴィンガード監督作である本作も観てみました。そうすると色々と見えてくるものがあると言いますか。まずいきなり意表を突かれるのがあのオープニングです。走る男の姿を後ろから捉えた画がしばらく続くかと思いきや、突如それをぶった斬るかのように”THE GUEST”のタイトルがドーン!怖っ!ここでのタイトルロゴは『エクソシスト』風でもありますし、とにかく冒頭から否応なしに引きずり込まれていきます。この不気味な重低音混じりの唐突なカット割りは劇中で2、3度用いられており、不気味な緊張感や不穏感を必要以上に醸し出しています。また今回の主人公デヴィッドのキャラクター造形は『ランボー』や『ターミネーター』を連想させますが、並大抵の映画であれば彼の素性や過去をフラッシュバックなどで描きそうなところを、本作ではそれらの演出を一切排除し完全に外部からの視点のみで進行されます。この淡々とした作りもまた70年代ホラーチックであり、デヴィッドの冷徹で非人間的な佇まいもより際立っています。そして『ゴジラvsコング』との参照という観点で個人的にもの凄く納得した点が一つありまして、おそらくアダム監督は”筋金入りのアクション映画ファン”だと思われます。「ゴジコン」でもアクション映画からの引用が各所で指摘されていますが、本作においてもアダムのアクション映画好き感が溢れ出ています。特に中盤の酒場での格闘シーンは主人公の殺人マシンっぷりが堪能出来る実に楽しい一幕でした。更にこの場面では一箇所、”ヴォンッ”という効果音と共にカメラが主人公の顔に素早く寄る、いわゆる「香港ズーム」と呼ばれるあのカメラワークまで用いられいる!正直前述した作品全体の冷淡なトーンからは若干浮いているのですが、自分はこういった引用が本作の独創性を更に強めているとも思います。またクライマックスでは『燃えよドラゴン』展開まで用意されていますし、自分は今回で「ゴジコン」の舞台が”何故香港だったのか”がようやく腑に落ちました。コイツ、香港好きなんだわ。 また「ゴジコン」で何より印象的だったネオンカラーも随所に施されていますし、監督自身も相当拘ったという80’sポップスの選曲やスティーヴ・ムーアによるエレクトロニックなサントラからも、本作は”80年代カルチャー”としての側面もかなり濃厚です。容赦ない残酷描写も80年代スラッシャー風味ですし、これら80年代的デザインセンスが前述した割とストレートなアクション映画感とも実に自然にマッチしています。さすがニコラス・ウィンディング・レフンが賞賛するだけありますね。正直物語そのものに関しては色々と疑問も浮かんできますし、何より語り口が淡々とし過ぎていて逆に食い足りなさが残る作品でもあります。ただアクション映画においてこのドライな語り口を貫き通すのは実に新鮮でしたし、作品全体の空気感まで含め個人的には十分過ぎる程楽しめた一作です。「ゴジコン」がお気に召した方には是非お勧めしたい! そこらのアクション映画で20回は見たことあるような顔立ちですが、実際にはむしろ非アクション俳優だったダン・スティーヴンスさん。この”どっかで見たことある感”が物語上も効いてくる、実にナイスなキャスティング。
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