レビュー
cocoa

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4 years ago

3.5


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ある人質 生還までの398日

映画 ・ 2021

平均 3.6

原題は「Ser du manen, Daniel」。 邦題がすっかりネタバレなので助かったことはわかっていたけど。 なかなか過酷な内容で、改めてテロとの闘いの難しさを感じた作品でした。 2013年にシリアに行き、IS(イスラム国)の人質になったデンマーク人のダニエル・リュー。 398日間に及ぶ監禁の後に奇跡的に助かった彼の実話ベースのストーリー。 怪我によって体操選手の夢が閉ざされ、今後を考えるダニエル。 ソマリアに行き子どもたちの写真を撮り、「自分がやりたいことが決まった」と、写真家を目指す。 そしてシリアの非紛争地帯に行ったダニエルはISに拉致されるのです。 ここまでの流れがとてもあっさりしているので、何も覚悟のない若者の印象は感じてしまうかも。 その後 劣悪な環境下で人質になるダニエルの様子。 デンマークではダニエルの救出を願う家族が政府に訴えるが「国が身代金を払うことはテロ組織を増長させるので一切交渉はしない」と言う方針。 これは日本も同じ方針だったが、国によっては身代金を払い解放された人質もいたのです。 ダニエルと一緒に監禁されている数人の人質仲間。 そんな時にアメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーが連れてこられます。 この方の名前は知っていたので、先行きを考えると観るのもしんどくなりました。 ジェームズはイスラム過激派組織が一番嫌うアメリカ人。 彼の明るくて前向きな人柄にダニエルや他の人質も励まされた事でしょう。 しかしISは身代金ビジネスを展開し、どんどん処刑をしていきます。 あのオレンジ色のつなぎ服を着せられた姿はもう嫌な予感しかない。 それと同時にデンマークでは家族がお金の工面に必死になっていました。 とりあえず外務省の役人は「ご家族で決めることです。」しか言わないけど、人質救出専門家のアートゥアの交渉によって398日後にダニエルは解放されます。 ジェームズに頼まれた伝言を後に伝えるダニエルの姿。 ジェームズの「奴らの悪意に負けたくない」の強い意思がとても印象に残った。 ダニエルはこうして高額な身代金で助かったが、多くの人質がイスラムの新興勢力によって処刑された事は忘れない。 さらにエンドロールにある「デンマークに難民としてやってくる人々はこれ以上の恐怖を味わっている」の言葉が重かった。 一時、「自己責任」論が飛び交った日本では亡くなられた方も水面下の交渉で助かった方もいる。 決して遠くの世界の話ではなく、一時的にはISの存在が消えたかのように見えるけど、安定しない政情はいろんな怖さがあると感じた内容でした。