レビュー
cocoa

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6 years ago

3.5


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バハールの涙

映画 ・ 2018

平均 3.3

2014年、イラク北部のクルド人自治区をISが襲い、逃げ遅れた住民を殺害、拉致した。 ヤスディ教徒が住む地域シンジャルでは脱走してきた主人公のバハール(ゴルシフテ・ファラハニ)を隊長として抵抗部隊「太陽の女たち」を結集。 彼女たちの戦いをフランス人ジャーナリスト、マチルドの目を通して描かれた作品です。 女性監督が実際に現地に赴き、多くの女性たちの声をまとめて描きたかったものとは。 片目のマチルドは実在したアメリカ人ジャーナリスト、メリー・コンヴィンさんがモデル。 (シリアで2012年に戦禍に巻き込まれ亡くなっています。) さて、今回の作品は戦闘には縁のない普通の女性たちが武器を手に戦う意味を強く感じました。 ある日突然、愛する夫を殺され、男児は拉致され戦闘要員にされる。 そしていつの世も、女性は拉致され強姦され奴隷として売られる。 そのお金がISの潤沢な資金になると言うおぞましい現実。 バハールを始め女性たちは自分の産んだ命を取り戻すため果敢に立ち上がるのです。 売られた先から命を懸けて逃げてきた女性たち、「女 命 自由」をスローガンに士気を高め「私たちの血が命を産む」と唄うシーンはたまらない。 一方のISの男たちは「女に殺されたら天国に行けない」と考え、女性部隊を怖れる場面も。 女の手で地獄に落ちてしまえ! さて、この作品はマチルドの存在が薄く、辛口評価もありますが、女性監督が「なぜクルドの女性たちが銃を手にしたか」を描いた意味はとても大きいと思いました。 たとえば背景は違いますがボスニア紛争などの作品をいくつか観ると、異民族間のおぞましい「民族浄化」の実態などいつも女性が心身ともに痛め付けられる現実があります。 イスラムの男性社会のいびつな思想がどれだけの女性を不幸にしてきたか…。 その度にやはり女性監督がメガホンを取り世界に訴える、それがどんなに貴重なことかいつも思い知らされます。 バハール達のように非力な女性が子どものために戦う意味の大きさ、充分に描かれていました。 バハール役のファラハニは多くの作品で見ていますが、土埃のつく顔で強い意思を持つ表情が良く、女戦士を好演。 マチルダ役は「モン・ロワ…」で好きな女優エマニュエル・ベルコでした。